「Canva(キャンバ)」とは、ブラウザ上およびスマホアプリで使用できるデザインツールです。
2013年からオーストラリアでサービスを開始して、2017年5月には日本語版がリリースされました。
Canvaには、素材やツールが自由に使える有料版(月額US$12.95〜)と、無料版が用意されています。
無料版と聞くと、試用しかできないイメージがあります。しかし、実際に使用してみると、Canvaの無料版では使用できる素材や機能に制限があるだけで、使いこなせばIllustratorやPhotoshopのようなクオリティのデザインデータが作成できました!
今回はCanvaを使ったチラシ・ポスター・名刺の制作に触れながら、印刷用の入稿データ作成までを詳しく見ていきます。
手っ取り早く印刷注文ができるデータの作り方を知りたい方はこちら!
>トリムマーク(トンボ)の付け方
>カラーモード(RGB)について
>フォントの埋め込みについて(2022.8.2版)
Canvaの会員登録から基本的な使い方を紹介した記事はこちらから!
>Canvaの使い方を基礎から応用まで解説
無料プランのCanvaでもサイズ変更ができるテクニックを説明します!
>無料版Canvaのサイズ変更方法
PDF入稿のメリット・デメリットはこちらから
>PDF入稿のメリット・デメリット【作成方法と設定の注意点】
Canvaで印刷用のデザインを作成する際に、最も重要なのはサイズの設定です。
デザイン作成をはじめる際にはいくつか入り口があります。
右上の「デザインを作成」の青色ボタンを押すとドロップメニューでデザインできる媒体が出てきます。
希望の印刷物サイズぴったりのものがあればそちらをクリックするだけでデザインテンプレート選択に移動します。
ぴったりなものがない場合は、メニューの1番下の「カスタムサイズ」から入力してサイズを決めることもできます。
デフォルトで単位がpxのため、mmに変更することをお忘れなく。
媒体の名称や作りたいサイズを入力して検索することができます。
試しに「チラシ」「フライヤー」「ポスター」「名刺」と検索してみましょう。
中央下に各種媒体のアイコンが出ています。
その中から「印刷製品」を絞り込み、人気の印刷から選びましょう。
1〜3と導線が異なりますが、どこから選択しても制作開始までの流れは同じです。
しかし、ここで注意が必要です。無料版では一度サイズを設定して作成をはじめたデザインは、サイズ変更ができません。
無料版Canvaで完結させるには、このサイズ設定を確実に行う必要があります。
無料版Canvaで印刷データを作るポイント1
サイズ設定後のサイズ変更はできない(有料版は変更可)
(2022/10/25追記)無料プランでもサイズ変更ができる方法を紹介した記事を公開しました。
>無料版Canvaのサイズ変更方法
作成しているデザインのサイズは「サイズを変更」か「ファイル」のメニューをから確認できます。
間違ったサイズで作成していないか、よく確認しましょう。
例えば、チラシを作る場合、「チラシ」を選択すると、初期設定でA4サイズ(210×297mm)が決定しています。
もしも、違うサイズのチラシを作りたい場合は、「カスタムサイズ」から数値を入力して作成する必要があります。
同様に「ポスター」を選ぶとA2サイズ(420×594mm)、「名刺」は日本の通常サイズ(91×55mm)または欧米サイズ(85×50mm)が設定されています。
それぞれ他のサイズで作成するには、「デザインを作成」>「カスタムサイズ」から入力して設定します。
無料版Canvaで印刷データを作るポイント2
「チラシ」の初期設定はA4サイズ(210×297mm)
「ポスター」の初期設定はA2サイズ(420×594mm)
「名刺」の初期設定は日本サイズ(91×55mm)または欧米サイズ(85×50mm)
作成したいサイズと異なる場合は「カスタムサイズ」から作成する
特に、日本の名刺の基本サイズは91×55mmですので、トップ画面から「名刺」を選んで作成をすると希望通りの入稿データが作成できません。
必ず「デザインを作成」>「カスタムサイズ」から91×55mmを入力して、作成を開始しましょう。
媒体やカスタムサイズが決定したら、デザインの制作画面に切り替わります。
デザインが完成したら印刷データにして保存する必要があります。
Photoshopのpsd形式やIllustratorのai形式といった形式(拡張子)はCanvaにはありませんので、印刷用PDFをダウンロードしましょう。
途中で有料版をおすすめする広告が表示されますが、×印で閉じます。
有料版は前向きに検討することにして、今回は無料で使わせていただきましょう。
無料版Canvaで印刷用PDFを書き出すには
「PDF(印刷)」を選んで「トリムマークと塗り足し」にチェック入れてダウンロード
これで印刷用のPDFの用意ができました。
念のためダウンロードしたPDFを開いて見てください。四隅にトリムマーク(1本トンボ)がついたデザインであることが確認できます。
ちなみに、トリムマークとはトンボのことです。
>Illustratorのトンボをマスターしよう!【作成、解除、プリント方法】
トンボの端と端がつながって仕上がり位置を示していると、塗り足しがないデータとみなしますが、Canvaで書き出したPDFは角が離れたトンボのため塗り足しがあるデータとなります。
(バンフーオンラインショップでは受付可能なPDFデータです!)
これで今回の説明は終わり…としたいところですが、PDFについての補足があります。
Canvaの印刷用PDFには2つ注意点があります。
Canvaでダウンロードできる画像やPDFすべてがRGBカラーです。
確かに、制作画面で文字や背景のカラーを変更するときにはRGBの値での指定でした。
RGBカラーをCMYKに変換すると、蛍光色のように発色が良い色が多くの場合にくすんだように見え、作成時のイメージと印象が変わってしまいます。
>カラーモードで印刷するときのRGBとCMYKとは?
バンフーオンラインショップではご注文時に「PDF校正を選択」していただくと、印刷を開始する前にCMYKカラーに変換したPDFの色味を確認することができます。
ぜひご活用ください。
実際にCanvaで作成されたチラシの印刷用PDFをデータチェックしたところ、埋め込まれているフォントと埋め込まれなかったフォントが存在しました。
埋め込まれなかったフォントは印刷工程の処理でエラーによって、意図しないフォントに置き換わってしまったり、文字化けが発生する可能性があるため、印刷通販のデータチェック体制によっては不備となります。
こちらについては、「埋め込みできないフォントを使用しない」ことが現在の解決方法です。
Canvaには非常に多くのフォントが搭載されており、日本語フォントについては2019年には89種類だったものが、2022年3月現在には317種類もあります!
Canva Pro(有料プラン)で高品質フォントも選べるようになりました。
その日本語フォントにも埋め込まれるフォントと埋め込まれないフォントがあります。
今回、全317種類の日本語フォントのうち、有料フォント36種類を除いた281種類のフォントについて、PDFへの埋め込み可・不可のチェックテストを行いました。
結果、埋め込まれないフォントは14種類という結果になりました。
以前は89種類中28種類が埋め込まれないフォントだったことを考えると、かなり改善されているようです。
ウェブデザインでは有名な「Noto Sansフォント」は埋め込まれないため、注意が必要です。
【PDFダウンロード】Canvaの日本語フォントの埋め込みテスト結果
(PDF形式/93KB/2022年3月リスト更新)
上記のテスト結果を参考に使用するフォントを決定して、デザイン作成してみてください。
(2022.8.4更新)2022年7月からPDF形式のダウンロードについて新機能「PDFのフラット化」が追加されました。
このチェックを入れてPDFのフラット化を行うと、文字や写真やオブジェクトなど多層化されていたものを、1枚の高解像度の画像(300ppi)に統合して、PDF形式にしています。
これで使用フォントのリストを気にせずに、画面通りにプリントしやすくなります。
家庭や簡易なプリント用途には全く問題なく利用可能です。
ただし、フラット化したPDFにも懸念点がいくつかあり、より良い印刷品質のために推奨していません。
名刺などで使われる「小さな文字」や「明朝体」などの細い箇所がある文字は、フラット化によって「潰れる」「ぼやける」「切れて見える」という可能性があります。
多くの印刷会社では文字の版ずれを防ぐために、データの黒い文字などにオーバープリント処理をして印刷しています。
参考:>スミベタとリッチブラックについて ブラックオーバープリント(スミノセ)の項目
フラット化によって1枚の画像に統合されるため、「文字」や「黒色のオブジェクト」など個別に認識できなくなり、オーバープリント処理を行うことができなくなります。それにより版ずれが起きやすくなります。
版ずれすると、ごく微小なずれでも白いずれが目立ってしまいます。
「PDFのフラット化」
・ファイルの通りに印刷できる安定性があるため簡易な印刷には利用できます
・印刷会社のデータ処理や高品質な印刷には対応できないため、推奨しません
Canvaを印刷データ作成として使えるかどうか、使い方から注意点まで詳しく検証しました。
印刷データとして注意する点をまとめます。
・サイズの設定(作るサイズと単位)
・印刷用PDFのダウンロード(印刷用PDFで塗り足し)
・RGB形式(印刷はCMYK形式)
・フォントの埋め込み(リストをチェック)
・PDFのフラット化(印刷発注では使用しない)
以上が注意点です。
Canvaはとても便利で使用感がいいデザインツールであることは間違いありませんので、実際にチラシやポスターの制作をしてみてはいかがでしょうか。
Canvaの会員登録から基本的な使い方を紹介した記事はこちらから!
>Canvaの使い方を基礎から応用まで解説
無料プランのCanvaでもサイズ変更ができるテクニックを説明します!
>無料版Canvaのサイズ変更方法
PDF入稿のメリット・デメリットはこちらから
>PDF入稿のメリット・デメリット【作成方法と設定の注意点】
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