「Canva(キャンバ)」とは、ブラウザ上およびスマホアプリで使用できるデザインツールです。
2013年からオーストラリアでサービスを開始して、2017年5月には日本語版がリリースされました。
Canvaには、素材やツールが自由に使える有料版(月額US$12.95〜)と、無料版が用意されています。
無料版と聞くと、試用しかできないイメージがあります。しかし、実際に使用してみると、Canvaの無料版では使用できる素材や機能に制限があるだけで、使いこなせばIllustratorやPhotoshopのようなクオリティのデザインデータが作成できました!
今回はCanvaを使ったチラシ・ポスター・名刺の制作に触れながら、印刷用の入稿データ作成までを詳しく見ていきます。
手っ取り早く印刷注文ができるデータの作り方だけを知りたい方は下記からどうぞ!
>トリムマーク(トンボ)の付け方
>カラーモード(RGB)について
>フォントの埋め込みについて
Adobe製品やMicrosoft Office製品は体験版などはありますが、基本的に有料です。
Canvaも有料版と無料版がありますが、ちょっとだけデザイン制作する必要があるというシーンでは無料版でも大活躍します。
オシャレなデザインテンプレートとフォント(書体)が豊富です。そのほぼ全てが無料で使用できます。
※ただし、フォントに関しては、印刷発注時に使用できないものがあります
>Canvaでデザインする際の2つの注意点
共通のアカウントでログインすれば、自宅でも、出先でも、スマホアプリでも(!)、同じデータを編集することができます。
※ただし、スマホアプリではPDF保存時に、トリムマークを設定できません
Webサイト上で動作しているとは思えないほどスムーズに動作し、試用中にエラーが発生することは一度もありませんでした。
テンプレートにはチラシやポスター等の印刷物からSNSのカバー画像や投稿用の画像も用意されています。
さらに、そのように制作したデザインはPDF、jpg、pngなど様々な形式でダウンロードできます。
さっそく、Canvaを使ってみましょう。
サイトにアクセスすると最初にアカウント登録画面が出ます。
アカウント登録は以下の3つの方法があります。
すでにGmailやFacebookを利用していると、すぐに登録が終わってとても簡単なのでオススメです。
アカウント登録が終わり、ログインが完了するとトップの画面が表示されます。
ここでメニューや表記が英語メインになっていないでしょうか?
そのような場合には、左上の自分のアカウント名をクリックして、
「アカウント設定」>「Language」の箇所で日本語を選んで、「Save changes」で設定を保存しましょう。
以上で、Canvaを使用する準備が完了です。
アカウント登録後、トップ画面ではメニューがとても多いです。ちょっと迷ってしまいますね。
でも、慣れてしまえば初心者でも簡単にできますので、使い方を見ていきましょう。
Canvaではデザイン作成をはじめる際に、3つの入り口があります。
左上の「デザインを作成」の青色ボタンを押すとドロップメニューでデザインできる媒体が出てきます。
希望のサイズぴったりなものがあればそちらをクリックするだけでデザインテンプレート選択に移動します。
ぴったりなものがない場合は、メニューの一番上の「カスタムサイズ」から入力してサイズを決めることもできます。
デフォルトで単位がpx表記になっていますので、mmに変更することをお忘れなく。
作りたいサイズや媒体の名称を入力して検索することができます。
試しに「チラシ」「フライヤー」「ポスター」「名刺」と検索してみましょう。すると推奨される検索結果が出てくることが分かります。
トップ画面の一番目立つところに、各種媒体のアイコンが出ています。
その中から直感的にフライヤーやポスター等を選ぶことができます。
また、(気づきにくいですが)アイコンが並んだエリアの右上にカスタムサイズのリンクがありますので、そちらから入力することもできます。
1〜3と導線が異なりますが、どこから選択しても制作開始までの流れは同じです。
しかし、ここで注意が必要です。無料版では一度サイズを設定して作成をはじめたデザインの、サイズ変更はできないようです(サイズ変更の操作をすると有料版の案内が出てきます)。
無料版Canvaで完結させるには、このサイズ設定を確実に行う必要があります。
無料版Canvaのポイント1
サイズ設定後のサイズ変更はできない(有料版は変更可)
例えば、チラシを作る場合、媒体の「フライヤー」を選択すると、初期設定でA4サイズ(210×297mm)が決定しています。
もしも、違うサイズのチラシを作りたい場合は、「カスタムサイズ」から数値を入力して作成する必要があります。
同様に「ポスター」を選ぶとA2サイズ(420×594mm)、「名刺」は欧米サイズ(85×50mm)が設定されています。それぞれ他のサイズで作成するには、「カスタムサイズ」から入力して設定します。
無料版Canvaのポイント2
「フライヤー」の初期設定はA4サイズ(210×297mm)
「ポスター」の初期設定はA2サイズ(420×594mm)
「名刺」の初期設定は欧米サイズ(85×50mm)
作成したいサイズと異なる場合は「カスタムサイズ」から作成する
特に、日本の名刺の基本サイズは91×55mmですので、トップ画面から「名刺」を選んで作成をすると希望通りの入稿データが作成できません。
必ず「カスタムサイズ」から91×55mmを入力して、作成を開始しましょう。
媒体やカスタムサイズが決定したら、デザインの制作画面に切り替わります。
次はデザインテンプレートを選択します。
画面左側に、選んだサイズのデザインのサムネイル(小さいサイズの見本)がレコメンドされて表示されます。ジャンル分けされているので、お気に入りのデザインを選びましょう。
デザインをクリックするとすぐに右側の制作画面に反映されます。
ただし、デザインテンプレートにも有料の素材が含まれるものと、すべて無料のものとがあります。
画面左側のデザインテンプレートのサムネイルにマウスを重ねたときに、サムネイルの右下に小さく「無料」という表示が出るものが無料です。
また、選んだデザインが無料かどうか確かめるには、画面右上のダウンロードマークをクリックします。
無料のデザインの場合、「ダウンロード」ボタンが表示されます。
有料の素材が含まれる場合、「お支払いとダウンロード」ボタンが表示されます。有料の素材もダウンロード画面に明示されます。主に写真やイラスト、アイコン等です。
有料の素材が含まれるテンプレートでも、実は無料で使用することができます。
有料素材が何点使用されているか確認して、デザインの制作画面から使用されている箇所を1点ずつ選んで削除する(バックスペースキー or ゴミ箱アイコンクリック)ことで、デザインのレイアウトや色彩を残したまま、無料で使用することが可能です。
無料版Canvaのポイント3
無料のデザインテンプレートを選ぶか、有料のテンプレートから有料の素材を削除して使用する
デザインテンプレートを選んだ後は、文字や写真の操作をしていきます。
「左メニュー」>「テキスト」から「見出しを追加」「小見出しを追加」「本文を追加」をクリックすると制作画面にテキストボックスが追加されます。
制作画面の文字部分をクリックするとテキストボックスが選択され、もう一度クリックすると下記の編集ができるようになります。
・打ち替え
・フォントの変更
・文字サイズの変更
・文字の色の変更
・文字の太さの変更
・文字揃えの変更
・大文字小文字の変換
・箇条書きの設定
・スペース(文字間、行間の設定)
制作画面の文字部分をクリックするとテキストボックスが選択されます。そのままドラッグすることで文字の位置を移動できます。
Canvaのテンプレートを選ぶと、テキストボックスがグループ化されています。
グループ化されたテキストボックスを選択して、「Control(⌘)+shift+Gキー」または上部メニューから「グループ解除」でグループ解除されます。
逆に、「shift+クリック」でテキストボックスをいくつか選択して、「Control(⌘)+Gキー」または上部メニューから「グループ化」でグループのようにまとまります。
グループ化は画像やイラストについても同じ操作でできます。
「左メニュー」>「写真」から写真の素材を追加できます。
デザインテンプレートと同様に、サムネイルの右下に小さく「無料」という表示が出るものが無料です。サムネイルをダブルクリック or 制作画面にドラッグすると、紙面に配置することができます。
また、「左メニュー」>「アップロード」からオリジナルの写真や画像をアップロードして、配置することもできます。
印刷品質に関係してきますので、高解像度の写真(縮小加工や圧縮されていない容量の大きな写真)を選ぶ必要があります。
配置した写真をクリックして選択して、四隅の角をドラッグすると拡大縮小、四辺をドラッグするとトリミングできます。
また、写真を選択した状態で上部メニューから以下のことができます。
・フィルター
・調整
・切り抜き
・反転
線や長方形・丸のような基本的な図形から、グラデーションやグラフやかんたんな装飾等が追加できます。
アイコンやイラストの素材も多彩ですが、こちらは有料のものがほとんどです。
ここで覚えておきたいのは下記のフレームとグリッドです。
「左メニュー」>「素材」から「フレーム」を選択します。丸型や変形に加え、パソコンやスマホ型のフレームが用意されています。
例えば丸型のフレームをダブルクリックして配置し、風景画のフレーム部分に「左メニュー」>「写真」から写真を選んでドラッグすると、丸型のフレームに収まった写真が配置されます。アップロードしたオリジナルの画像や、すでに制作画面に配置されている画像をフレームにドラッグしても自動的にはめ込みされます。
パソコンやスマホのフレームに写真をはめ込む機能は、本家のデザインソフトにもない機能なのでとても便利です!
グリッドに関してもフレームと同じように、写真をはめ込める全画面のグリッドを配置します。
多彩なレイアウトの分割パターンが用意されていますので、背景に複数枚の画像をどんどん当てはめていくだけでオシャレな雰囲気にまとめられます。
「左メニュー」>「背景」から最背面に背景を追加できます。
背景は、風景写真やテクスチャ、色のベタ等があります。デザインテンプレートを選ぶ前の白紙の制作画面に背景を設定し、文字だけのシンプルなデザインに映えそうです。
一通りCanvaの使い方を見てきました。
ここまで学んだことを活かせば、ほとんどのデザインアイディアは実現できると思います。様々なデザインを試してみましょう。
チラシのターゲットや目的、デザイン制作のコツに立ち戻るなら
>チラシのデザインのコツ!考え方からテクニックまで
チラシデザインの参考サイト集
>チラシデザインの参考サイト集【7選】
デザインが完成したら印刷データにして保存する必要があります。
Photoshopのpsd形式やIllustratorのai形式といった形式(拡張子)はCanvaにはありませんので、印刷用PDFをダウンロードしましょう。
上部のヘッダーナビゲーションから「パブリッシュ」>「ダウンロード」または「ダウンロード」のアイコンをクリック。
ドロップメニューから「PDF(印刷)」を選んで、「トリムマークと塗り足し」にチェックを入れてダウンロードボタンを押すとダウンロードがはじまります。
途中で有料版をおすすめする広告が表示されますが、×印で閉じます。
有料版は前向きに検討することにして、今回は無料で使わせていただきましょう。
無料版Canvaで印刷用PDFを書き出すには
「PDF(印刷)」を選んで「トリムマークと塗り足し」にチェックしてダウンロード
これで印刷用のPDFの用意ができました。
念のためダウンロードしたPDFを開いて見てください。四隅にトリムマーク(1本トンボ)がついたデザインであることが確認できます。
ちなみに、トリムマークとはトンボのことです。
>Illustratorのトンボをマスターしよう!【作成、解除、プリント方法】
トンボの端と端がつながって仕上がり位置を示していると、塗り足しがないデータとみなしますが、Canvaで書き出したPDFは角が離れたトンボのため塗り足しがあるデータとなります。
(バンフーオンラインショップでは基本的に受付可能なPDFデータです)
これで今回の説明は終わり…としたいところですが、PDFについての補足があります。
Canvaの印刷用PDFには2つの注意点があります。
Canvaでダウンロードできる画像やPDFすべてがRGBカラーです。
確かに、制作画面で文字や背景のカラーを変更するときにはRGBの値での指定でした。
RGBカラーをCMYKに変換すると、多くの場合に色がくすんだように見え、作成時のイメージと印象が変わってしまいます。
>カラーモードで印刷するときのRGBとCMYKとは?
バンフーオンラインショップではご注文時に「PDF校正を選択」していただくと、印刷を開始する前にCMYKカラーに変換したPDFの色味を確認することができます。
実際にCanvaで作成されたチラシの印刷用PDFをデータチェックしたところ、埋め込まれているフォントと埋め込まれなかったフォントが存在しました。
埋め込まれなかったフォントは印刷工程の処理でエラーによって、意図しないフォントに置き換わってしまったり、文字化けが発生する可能性があるため、印刷通販のデータチェック体制によっては不備となります。
こちらについては、「埋め込みできないフォントを使用しない」ことが現在の解決方法です。
Canvaには非常に多くのフォントが搭載されており、日本語フォントだけでも89種類(2019年10月現在)もあります。その日本語フォントにも埋め込まれるフォントと埋め込まれないフォントがあります。
今回、全89種類の日本語フォントの埋め込み可不可のチェックテストを行い、埋め込まれるフォントが61種類、埋め込まれないフォントは28種類という結果になりました。
【PDFダウンロード】Canvaの日本語フォントの埋め込みテスト結果
(PDF形式/83KB)
上記のテスト結果を参考に使用するフォントを決定して、デザイン作成してみてください。
Canvaを印刷データ作成として使えるかどうか、使い方から注意点まで詳しく検証しました。
とても便利で使用感がいいデザインツールであることは間違いありませんので、実際にCanvaを使ったチラシやポスターの制作をしてみてはいかがでしょうか。
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