チラシやポスター、冊子など、印刷物の入稿データを作る際にはトンボは欠かせません。入稿したデータにトンボがないと、データの不備として印刷会社から戻されてしまいます。印刷物の仕上がりサイズを正確に示すしるしとなるためです。
トンボはAdobe Illustrator(アドビイラストレーター、通称「イラレ」)を使えば、簡単に作成できます。
イラレを使用した場合のトンボ作成の手順、削除やサイズ変更などの操作方法から、トンボが必要な理由まで、印刷会社の見地から入稿に最適なトンボの付け方をお知らせしていきます。
早速トンボの作成方法から見ていきましょう。トンボの作り方・出し方は、使っているイラレのバージョンによって異なります。ここでは、CS5以降のバージョンでのトンボの作り方をご説明します。
1.の透明な四角形は仕上がり線となりますので、そのまま目安として使用したい場合は、「表示メニュー」>「ガイド」>「ガイドを作成」から印刷されないガイド線を作成することができます。
※PDF形式で別名保存されますが、編集中のデータはPDF形式のデータとなります。そのまま継続してデザイン編集を行った際に上書き保存してもPDFとして保存されますので、ai形式のデータとは作業の差分が生まれてしまいます。PDF形式で保存した後に再度編集する場合は、ai形式の元データを再度開いてください。
PDFで入稿する場合は、新規ドキュメントでアートボードのサイズを仕上がりサイズに設定し、「裁ち落とし」を天・地・左・右ともに3mmに設定してください。別名保存する際に、「トンボ」→「すべてのトンボとページ情報をプリント」を選択し、「トンボ」にチェックマークを入れます。この作業の上でPDF保存すれば、トンボが表示されているはずです。
印刷用データをWEBなどに流用する場合、トンボは不要になります。
また、サイズ変更などトンボの付け直しを余儀なくされることもあります。前項のオブジェクトメニューから作成したトリムマーク(トンボ)はオブジェクトなので、通常は選択ツールで選択して削除することができます。
しかし、「イラレで作成したトンボが消せない」「イラレでトンボが選択できない」というお悩みが時折聞かれます。各トンボの削除方法を紹介します。
トンボは制作中にずれてしまう可能性があるため、トンボのオブジェクトをロックすることがあります。
「オブジェクトメニュー」>「すべてをロック解除」からロックされていないか確認しましょう。また、別レイヤーとしてロックしている場合もありますので、レイヤーパネルからロック(鍵マーク)がついていないか確認します。
「効果メニュー」>「トリムマーク」で付けたトンボは、アピアランスとして設定されます。アピアランスパネルからトリムマークを削除するか不可視にすることで表示を制御することができます。
トンボが作成された仕上がりサイズのオブジェクトを選択した状態で、「オブジェクトメニュー」>「アピアランスを分解」からオブジェクトに変換して制御することも可能です。
PDFファイル内に入っているトンボをカットして仕上がりサイズのPDFにしたい場合は、Adobe Acrobat Proで開いて「PDFを編集」>「ページをトリミング」からトリミングサイズを任意に指定し、開いたウィンドウ内の「余白の制御」で上下左右を12.7mmに設定してトリミングすることで、仕上がりサイズぴったりのPDFファイルを保存することができます。
イラレでデザイン制作をしていても、画面上で確認するだけではなく、プリントアウトして実寸で実際のロケーションのように確認することがあります。その際にトンボを含んでプリントアウトする方法、トンボを含まずにプリントアウトする方法を紹介します。
アートボード内にトンボを収めた状態でプリントアウトします。アートボード外にトンボがはみ出している場合は、「アートボードツール」>「オブジェクト全体に合わせる」を行ってアートボードをトンボ込みのサイズに変更します。
実寸でプリントアウトする際は、仕上がりサイズよりもトンボサイズの分だけ大きな用紙を用意しないと、トンボが含まれた状態で印字されません。例えば、仕上がりサイズがA4サイズの場合は、一回り大きなB4サイズやA3サイズの中央にプリントします。
プリントしたデザインを実寸で確認したいときはトンボカットをしましょう。内トンボの交点が仕上がり位置になります。ハサミで切ると真っ直ぐ切れないので、カッターと定規を使用してくり抜くようにカットするか、業務用の裁断機で1辺ずつカットします。
アートボード外のオブジェクトは初期設定ではプリントされないので、アートボードを仕上がり位置に合わせて変形させてプリントアウトすると、トンボ無し、かつ、仕上がりサイズでプリントすることができます。
※「ファイルメニュー」>「プリント」>「一般」>「□アートボードを無視」にチェックすると、アートボード外もプリントすることができます。
拡大縮小せずに実寸でプリントアウトするときは、仕上がりサイズより大きな用紙を選択するとトンボを含めて印字することができます。
トンボをプリントアウトしないときは、仕上がりサイズと同じサイズの用紙を選択してトンボを印字範囲外にするか、前項「トンボを解除・削除できないときは?-PDFに入っているトンボ」のようにトンボ自体をトリミングする編集をしましょう。
「トンボ」とは、印刷物を仕上がりサイズで断裁するための目安となるしるしです。各角や上下左右の中央に示されている線で、トリムマークやレジストレーションマークとも呼ばれます。「トンボ」というのは、2つの角が重なったその形状がトンボに似ていることから名付けられたとされます。
通常、印刷会社が印刷物を生産するときは、注文されたサイズよりも大きな紙に印刷し、仕上がりサイズにあわせて断裁します。そのときに仕上がり位置が分からなくなったり、仕上がりにズレなどの支障がないよう、印刷サイズと断裁の位置を示したものがトンボです。
トンボは、仕上がり位置(断裁位置)を示す「内トンボ」と、裁ち落としのための塗り足し部分(裁ち代、通称「ドブ」)を示す「外トンボ」の2種類の線で表現されます。イラレでデータを作成する際は、外トンボまで色を入れて3mmの塗り足しを作っておきます。塗り足しがないと、断裁時に用紙がズレたときに印刷されていない用紙の白地が出てしまいます。印刷会社の断裁工程では、1枚1枚を切るのではなく、数百枚から千枚くらいの用紙を重ねて一気にまとめて断裁します。そのため断裁時の圧力でわずかにズレが生じる場合があります。塗り足し部分が3mmあることで、わずかなズレが生じてもできあがった印刷物は端まできれいに色が入ったものになります。
ちなみにイラレでトンボを作る場合、線の色は「レジストレーション(CMYKの4色すべてが100%の色)」で設定されています。CMYKそれぞれの色版を重ねて印刷したときにずれていないかを確認するためです。版ずれが起きている場合は、トンボの線が重なりません。どのカラーの版がどれくらいずれているかが確認できるので、印刷工程では調整の目安にもなります。
トンボが「内トンボ」「外トンボ」の二重線で仕上がり線と塗り足し範囲を示していることは説明しましたが、ほかにもいくつか覚えておきたい「トンボ」の名前があります。あらためてトンボの名前をまとめてご紹介しましょう。
トンボの種類はいくつかありますが、いずれも印刷物を正確に仕上げるためにつけられる線です。イラレの機能を使えば簡単にトンボを作成することができますので、ぜひ覚えておきたいですね。
おた助データ修正無料サービスとは、データチェックで下記のような問題が見つかった場合に、弊社でデータ修正するサービスです。再入稿の手間や受注日のズレを防ぐことができます。
トンボに関してもデータチェック項目に含まれています。どうしてもよくわからない場合は、ぜひ活用してみてください!
主な修正項目は以下の通りです。
1.塗り足しがない
→ 塗り足しを作成します
2.トンボがない
→ トンボをつけます
3.不要なオブジェクトが残っている
→ 削除します
4.仕上がり位置に罫線がある
→ 削除します
5.モノクロ印刷のデータがカラーでできている
→ モノクロに変換します
6.特色印刷のデータがカラーでできている
→ 1色のデータに変換します
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