Adobe Illustrator(アドビ イラストレーター)を使うと、ファイル内にある文字要素に、簡単な操作で縁取りを付けることができます。ここでは、文字の縁取りの使い方や、イラストレーターを使った縁取りの付け方についてご紹介します。
文字を縁取るというと、スポーツ新聞の見出しやチラシのタイトルなど、比較的大きめの文字を連想する方は多いのではないでしょうか。確かに縁取りが施された文字はより派手に見えたり、存在感が増したりするものですよね。でも実は、文字を縁取るのにはもっと別の役割もあるのです。
例えば、写真や絵柄などの上に文字を配置している時、背景と文字の色味が似ていると、見分けがつかず読みにくくなってしまいます。全体的に読みにくい場合は文字の色を変えるよう検討するのがおすすめですが、背景の一部だけが文字と似た色になっていて……という場合は、読みにくくなっている部分の文字だけに縁取りを付けると、背景と文字の境目がはっきりして読みやすくなるというわけです。
では続いて、グラフィックソフトのAdobe Illustrator(アドビ イラストレーター)を使い、文字に縁取りを付ける方法をいくつかご紹介しましょう。
イラストレーターで描く図形は、塗り(線で囲まれた内側の色)と線にそれぞれ違う色をつけることができます。そして、イラストレーター上の文字要素「テキスト」も同じように、塗り(テキスト自体)と線(テキスト周囲の縁取り)にそれぞれ違う色をつけることができるのです。
縁取りを付けたいテキストを選択したら、文字の色と縁取りの色を決めましょう。ツールバーの中にある■で塗り、□で線の色を選びます。ちなみに、□に赤い斜線は「色をつけない(透明)」という意味です。
この方法だと、最も手軽に文字に縁取りを付けることができます。塗りを透明にすると、縁取りだけのいわゆる「袋文字」を作ることもできます。ただし、線を太くすると元の線の両側に広がるので、塗りの部分が狭くなる、いわゆる“文字が痩せる”状態になったり、さらに狭くなって潰れてしまったりすることが。こうしたことから、印刷の入稿用には不向きな方法でもあります。
それでは次に、イラストレーター上で線を太くしても、塗り部分が潰れない縁取りの方法をご紹介しましょう。太さと色が違う2つのテキストを重ねて、はみ出した分を縁取りのように見せる方法です。
まず、縁取りたいテキストをコピー&ペーストして、合計2つ用意します。片方のテキストは、塗りと線の両方を“縁取り用の色”にしておきます。もう片方のテキストは、塗りを“文字自体の色”に、線は透明(□に赤い斜線)にしておきます。…①
次に、この2つのテキストを右クリックして、「重ね順」メニューで“縁取り用の色”のテキストが下、“文字自体の色”のテキストが上になるように調整します。さらに「オブジェクトの整列」ツールを使って、水平方向・垂直方向に整列させます。…②
こうして2つのテキストがぴったり重なると、“縁取り用の色”の方が、線に色がついている分少しはみ出し、縁取りのように見えるというわけです。もちろん線を太くしても、文字自体の色が潰れることはありません。ちなみに、文字自体の色を透明にすると、縁取り用の色が透けてしまうので、この方法で袋文字を作ることはできません。
応用として、“縁取り用の色”のテキストだけを左右や斜め方向などに少しだけずらすと、文字に影がついているように見える文字装飾「ドロップシャドウ」風になります。
イラストレーター上での「アピアランス」とは、図形やテキストの見た目を調整する機能です。これを使うことで、テキストをコピー&ペーストせず、塗りと線だけで潰れない縁取りを作ることができます。
まず、アピアランスのウィンドウを表示させます。…①
「文字」と「テキスト」という項目に分かれていますが、この場合「文字」は1文字ずつ、「テキスト」は文字要素全体を指しています。つまり、1文字ずつ縁取りを付けたいなら「文字」、全体を縁取るなら「テキスト」のアピアランスを使います。ちなみに「文字」と「テキスト」両方でアピアランスを併用するのは、印刷トラブルにつながることもあるので要注意です。
文字ツールとは違って、アピアランスの塗りと線は重ね順を変えることができます。そこで「塗りが上、線が下」になるよう重ねることで、縁取りを太くしても潰れないようになるというわけです。…②
アピアランスがない場合は、ウィンドウのメニューから「新規塗り(線)を追加」することができます。
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