会社のパンフレットや記念誌、商品カタログなど、冊子にまとめて印刷製本しておくと、保存するにも、取引先などに差し上げるにも便利ですよね。ただ、冊子はページ数が多く、内容にボリュームがあるだけに、いざ作るとなっても何から手を付けていいのか迷ってしまいがちです。今回は、初めて冊子を企画する方にもわかりやすく、冊子の作り方と手順について説明します。
例えば「商品カタログを作る」という目的だけあっても、冊子作りを進めることはできません。まずは、冊子の企画をまとめてみましょう。企画といっても、一部分だけのアイデアや、ぼんやりしたイメージだけが先行してしまうと、原稿をまとめる段階になって「そういえば、何ページの冊子にするんだったかな?」ということになりかねません。まずは、下記を参考に「どんな冊子にするか」の具体的なイメージを固めていきましょう。
サイズは見た目の印象や持ち運びやすさにも関わる大事な要素。また、サイズが決まらないと、写真や文章など載せる内容の量も検討できません。
出来上がりのイメージが違うのはもちろん、ページ数の大小によっても適した綴じ方は変わります。
詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。
どこが違う? 中綴じ冊子、無線綴じ冊子の違い
あらかじめ何ページにするか決めておくのが安心ですが、後から変更するとしても、まずは大まかなページ数を考えておきましょう。中綴じ冊子の場合は、ページ数を4の倍数(4P、8P、12P……)にします。
ページ数を考える際の目安として「何をどれくらいの分量載せるか」を考えましょう。カタログであれば主力商品など必ず載せなければならない要素を中心に、できれば、載せるページ順(あいさつ文、目次、新製品、定番製品……など)もイメージします。
これもあらかじめ決めておくのが安心ですが、まずは大まかな数だけでも出しておきましょう。
フルカラーにするのか、表紙だけカラーで中面はモノクロにするのかといったことも検討しておきます。
見積りを取るためには紙の種類もひとまず選ぶ必要があります。すぐに手触りなどを確認できるように、日ごろから紙見本を取り寄せておくと安心です。詳しくは下記の記事も参考にしてみてください。
冊子やチラシ、ポスターに使われる印刷用紙の種類
冊子の必要な日が決まっている場合は、その前までに印刷を仕上げなければなりません。印刷に必要な日数、印刷用のデザインデータを作るのに必要な日数、原稿や写真をそろえるのに必要な日数を計算して、できれば少し余裕のあるスケジュールを組みましょう。
これだけの要素がそろって、はじめて具体的な印刷・製本料金の見積りを取ることができます。逆に、さまざまな設定の見積りを取って、見積額を見比べながらこれらの要素を決めていく方法もあります。いずれにしても、必要な要素に関しては、早い段階でおおよその見当を付けておくことが、スムーズな冊子制作のコツといえます。
多数のページがある冊子の場合、全体を俯瞰できる資料を作っておくことが大事です。企画が固まったら、どのページに何を載せるか簡単に記入した一覧表、いわゆる「台割」を作りましょう。
一般的な台割では、ページに見立てた枠を見開き2ページ分ずつ並べたものと、縦軸がページ数、横軸がそのページの内容といったリスト形式のものがよく見られます。ページ数が少なめの冊子の場合は見開きタイプ、多めの冊子の場合はリスト形式がよく使われているようです。テンプレートなども配布されていますから、上手に利用しましょう。
台割ができたら、原稿や写真など、必要な素材を集めたり、作ったりしていきましょう。表紙に載せるタイトルや目次、奥付の内容なども、それぞれテキストファイルで作っておきます。
台割には「どこに文章が入るか、どこに写真が入るか」といった細かい指定は入れませんが、原稿を作る段階ではそれも意識しておきたいところ。デザイナーに印刷用のデータを作ってもらう場合は、あらかじめサイズや載せたい要素、情報量を伝えて、1ページにどれくらいの文字数が入るのか、写真はどれくらいの解像度があればいいのかなどを確認しておきましょう。冊子と同じサイズの紙に、写真や原稿の入る場所を大まかに書き込んだ構成案、いわゆる「ラフレイアウト」を作ってみるとなおいいでしょう。
原稿や写真がそろったら、印刷用のデータ「レイアウトデータ」を作って印刷会社へ入稿(データを引き渡す)します。スケジュールによっては、原稿や写真がそろったページから五月雨式にレイアウトデータを作ることもあります。
レイアウトデータは、Adobe IndesignなどのDTPソフトや、Adobe
Illustratorなどのグラフィックソフトで、デザインはもちろん、色や文字の流し方なども細部まで指定して作られるケースが大半です。そのため、デザインの経験やソフトの知識が豊富なグラフィックデザイナーに、デザインも含めたデータ制作を依頼したり、データ制作を専門とするDTPオペレーターに、デザインを指定してデータを制作したりしてもらうのが一般的です。もし、冊子制作をデザイナーやオペレーターに依頼するつもりであれば、ぜひ企画段階から内容やスケジュールについて相談しておきましょう。
一方、最近はデザイナーやオペレーターでなくても取り扱える、PDFファイルやMicrosoft
Officeのソフトでの入稿に対応する印刷会社も増えています。PDFファイルやオフィスソフトのレイアウトを活かして冊子を作りたい場合は、こうした方法での入稿に挑戦してみるのもオススメです。
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