印刷物の間違いを修正する「訂正シール」。訂正という役割上、通常のスケジュールに関係なく、急に作らなければならなくなることも多いものです。そういったことがないに越したことはないのですが、万が一の時でもあわてず訂正シールづくりに取り組めるよう、日ごろから作り方のポイントを押さえておきましょう。今回は、初めて訂正シールを作る方にもわかりやすく、訂正シールの作り方について説明します。
せっかく印刷した冊子やパンフレット、チラシなどに間違いが見つかったり、急きょ内容の変更が発生したりすると、それだけであわててしまいますよね。「訂正シールを作らないと!」とすぐに動いてしまいがちですが、まずは冷静に考えてみましょう。
訂正シールを作ること自体にも費用や印刷用データの作成が必要ですし、出来上がった訂正シールを1枚1枚貼っていくには人手もかかります。もしかしたら、訂正シールを作るよりも、入稿したデータを修正して冊子やパンフレット、チラシ自体を刷り直した方が、時間短縮になったり、コストパフォーマンスが高くなったりする可能性もないとはいえません。まずは見積もりを取って、訂正シール作成と刷り直し、どちらが効率的かチェックしてみましょう。
ちなみに、必要数が少ない、仕上がりのクオリティにそれほどこだわらないというのであれば、手持ちのプリンターなどを利用して手軽に訂正シールを作る方法もあります。ただし、シールを修正する箇所に合わせて細かくカットし、台紙からキレイに剥がして貼っていく作業の大変さは、印刷会社で作った訂正シールとは比べ物になりません。やはりこれも、コストパフォーマンスをよく考えたほうがいい選択肢といえます。
印刷会社の中には、訂正シール専用のメニューを用意しているところがあります。シール用紙も普通のシールとは違うものが用意されているのが一般的です。
この訂正シール専用紙の最大の違いは“透けにくさ”です。せっかく貼った訂正シールのすき間から、元の文字や絵が透けているようでは、読みにくく見栄えもより悪くなってしまいます。ですから、薄い色の訂正シールでも透けないよう、裏の糊面はグレー色などになっていることが多いのです。
また、訂正する箇所のサイズや形もケース・バイ・ケースですから、シートのサイズは決まっていても、その中でシール本体の形(カットライン)は自由に決められるようになっていたりします。
訂正シールは目立ちにくい方が助かるもの。訂正シールを作る際に注意したいポイントがいくつかあります。
文字だけでなく背景の色も貼り付ける印刷物に合わせておかないと、訂正シールだけが浮き上がって見えてしまいます。カットラインがズレてもシールの端に白い枠が出たりしないよう、少し広めの範囲に色をつける「塗り足し」も必須です。
訂正シールを貼ったら、シールで隣の文字まで隠れて読めなくなってしまった、となると本末転倒です。できるだけ修正したい部分ギリギリのサイズになるように、シールのサイズは細かく吟味しましょう。
修正したい部分ギリギリのサイズにするといっても、カットラインの端には文字やデザインパーツを置くことができない余白(1ミリ~数ミリ程度)があります。カットラインがズレたときに文字やデザインパーツが見切れないようにするためのものなので、サイズを吟味する際はこの余白も頭に入れておきましょう。
目立ちにくくするためのポイントとはちょっと違いますが、人の手で貼る訂正シールですから、貼り損じを考慮して少し多めに作っておくのも大事なポイント。「あと数枚足りない……」となってから焦るよりは、少し余るくらいが適切な数ともいえます。
印刷後に一部だけ内容が変更されてしまった、印刷から時間がたって価格や電話番号などの情報が変わってしまったなど、印刷物には訂正シールを作ることが避けられないケースももちろんあります。
ただ、本来なら訂正シールを作らなくて済むに越したことはないもの。そのためには、誤字脱字や事実関係の間違いなどが修正されないまま印刷してしまうことがないよう、入稿前に入念にチェックすることが重要です。
原稿の書き手や編集者、デザイナーは内容に目が慣れていますから、シビアな校正作業をしていても、思わぬ見落としをしてしまうことがあります。入稿前こそ、他の人にも声をかけ、あらためて内容を確認してもらいましょう。これも、訂正シールを作る必要がない、きれいな印刷物にするための大切なポイントです。
前の記事
広告宣伝や販売活動のツールとして有効な「DM(ダイレクトメール)」ですが、どんなに素晴らしいデザインのDMを作ったとしても、「送って終わり」では意味があり …
次の記事
SNSでの予約やメール予約など、チケットレスの便利なツールも多いこのごろですが、大事なイベントほど、記念品にもなる紙のチケットがあるとうれしいものです。1 …