イベントの告知や商品の宣伝などに利用されているポスター。WEB広告が主流になりつつある今でも、街中や電車の中など、ポスターを目にしない日はないといっても過言ではありません。しかし、その中で印象に残っているポスターはどれだけあるでしょうか。見た人の心に残るポスターのカギは、ずばり「デザイン」です。ここでは、ポスター制作をするなら知っておきたい、ポスターデザインの基本を紹介します。
ポスターの目的は、「宣伝」です。イベントに来てほしい、商品を買ってほしい、サービスを利用してほしいなど、制作者側の意向を世間に広く伝えることにあります。また、ポスターを見て認識されるだけではなく、その後は購買や参加など、次のアクションにつながることを期待しているはずです。
ポスターが道行く人の目に留まることだけを狙うなら、色使いや画像の使い方など、デザイン的なテクニックで目的を達成できるでしょう。しかし、ポスターを見た後の行動を期待するならば、もう少し掘り下げてポスターのデザインづくりを考える必要があります。
たとえば、ターゲット層から考えてみましょう。若い女性なのか、それとも子育て中のファミリーなのか、はたまたシニア層なのか。それによってデザインはもちろん、コピーワークや載せるべき情報も違ってくるはずです。まずは「誰に見てほしいか」「何をしてほしいか」を明確にすると、ポスターデザインの方向性がなんとなく見えてくるのではないでしょうか。
ポスターは1枚の紙片です。大きさに違いはあれど、1ページの中で必要な情報をわかりやすく伝えることが、ポスターデザインの基本です。
チラシと違って、手元でじっくり読むことはしませんので、情報の絞り込みが必要です。チラシよりもサイズは大きいですが、だからといって情報をたくさん盛り込むのはおすすめできません。イラストや写真をメインにして、文字による情報はいちばん訴求したいことだけに留めるのが、ポスターデザインの主流です。
では、「いちばん訴求したいこと」とは何でしょうか?
新商品の告知なら、やはり商品名。商品の特徴や利点などを伝えるコピーも力強いフックになります。
イベントの告知なら、イベント名や、開催場所・開催時間などが重要です。
それ以上知りたい方のために、参加方法や問い合わせ先を掲載したほうがよいでしょう。
ポスターの第一印象はイラストや写真にひっぱられがちなので、大事な文字情報は、それに負けないインパクトが肝心です。フォントのサイズや大きさ、色には特に気を配りたいものです。また、ポスターは貼る場所によって目線の高さも変わります。少し離れた場所から俯瞰して、見え方を確かめるのも忘れないようにしてください。
ここからは、ポスターデザインについてもう少し具体的に解説していきましょう。
ポスターで限られた文字情報をわかりやすく伝えるには、ある程度のメリハリが重要です。一番大事な情報(イベント名や商品名)は大きく堂々としたフォントを、補足する情報(会場名や値段など)は小さめのフォントを使うようにすると、視覚的に整理されて頭に入りやすいです。ポスターの幅ギリギリいっぱいに文字を配置すると、見る人は視野を広げなくてはならず、見えにくくなります。ほどよく余白を残して、コンパクトに文字をまとめることを心がけましょう。
使う色を絞り込んでシンプルにデザインする方法、いろいろな色を使って賑やかにデザインする方法などがあります。デザインに慣れていない場合は、色数は増やしすぎず、メインカラー+サブカラー2色程度に絞り込むのがおすすめです。たくさんの色を使う場合は色調を抑え気味にすると、ガチャガチャした印象を避けられます。その場合、文字色をクッキリ目立たせると、メリハリが効いたデザインになります。
最初にメインのイラストや写真を配置し、バランスを見ながら文字情報をレイアウトしていくのが一般的です。無秩序にレイアウトすると読みにくくなりますので、ある程度は法則性を意識しましょう。ポスターが貼られる場所は、多くの場合、目線より高い位置になります。大事な文字情報は、中央より下に配置したほうが、見る人にとっては親切です。
ポスターの前で足を止めさせ、「なんだろう」「気になる」のフックを作るのは、コピーワークが大きな役割を果たしています。先にコピーを決め、それにマッチするポスターをデザインする場合もあります。
耳障りがいいだけの、よくあるコピーでは心には残りません。ターゲット層の潜在的な欲求や悩みに呼応するようなキャッチコピーがおすすめです。
たとえば、永久脱毛のポスターでは、施術を受けた後の理想的な自分像や、コンプレックス解消を暗示するようなコピーがよく見られます。またお得感や安心感など、利用しやすさをクローズアップするコピーも常套です。競合が多い商品や業種の場合は、その中でいかに差別化を図るかがポイントになります。自社が最も優れている点からコピーを考えるといいでしょう。
イベント告知の場合は、ターゲット層が参加したくなるツボを押すコピーを考えてみるといいでしょう。楽しさ、一体感、好奇心の喚起など、キーワードをひとつ決め、そこに当てはまるコピーをどんどん出していくのがおすすめです。アイデアが出ないときは、社内で意見を聞いてみるのもひとつの手。新しい視点から名コピーが生まれることもあります。
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