会社やイベントの案内、商品やサービスの紹介など、なにかと用途が多いパンフレット。気軽に手に取れるものだけに、作り方も簡単に考えてしまいがちです。でも、きちんと考えて作ったパンフレットは、それだけで人目に止まりやすくなりますし、内容にも説得力が増してきます。今回は、初めてパンフレットを企画する方にもわかりやすく、パンフレット作りの手順について説明します。
まずは、パンフレットの企画を立てることから。企画といっても、見た目やキャッチコピーなどのイメージだけが先行してしまうと、価格などの大事な情報が抜けてしまい、読み手が首をかしげる……なんてことになりかねません。まずは、下記を参考に、具体的なイメージを固めていきましょう。
サイズは見た目の印象や手に取りやすさにも関わる大事な要素です。また、パンフレットの場合は、折り方によってもサイズが変わります。
1枚の紙を折って作られたパンフレットを「折りパンフレット」といい、折り方によってデザインや開き方、内容を読む順番などが変わってきます。
長辺の真ん中で2つ折りにする方法です。表紙、見開き2面、裏表紙の計4面になります。
長辺を三等分し、両側を山折にして重ねる方法です。
外側3面、内側3面の計6面になります。
長辺を三等分し、山折、谷折のZ型に重ねる方法です。
表側3面、裏側3面(うち1面は表紙)の計6面になります。
長辺を四等分し、山折、谷折、山折、谷折のW型に折り重ねる方法です。
表側4面、裏側4面の計8面になります。
長辺を四等分し、左右を2つ折りにした上で、真ん中を2つ折りにする方法です。
表紙、見開き2面(扉)、見開き4面(中)、裏表紙の計8面になります。
長辺を四等分し、すべて山折でくるりと巻くように重ねる方法です。
サイズや折り方を決めるための目安として「何を載せるか」を考えましょう。ロゴや商品写真などの大きい要素、価格、詳細情報や問い合わせ先など必ず載せなければならない情報を中心に、できればどこに載せるかまでイメージしておきます。
パンフレットの仕上がりをイメージできたら、紙の種類や印刷部数など、実際に印刷に回すときに決めなくてはならない要素もおおよその当たりをつけ、印刷会社で見積もりを取りましょう。印刷に必要な日数、印刷用のデザインデータを作るのに必要な日数、原稿や写真をそろえるのに必要な日数を計算して、できれば少し余裕のあるスケジュールでパンフレット作成を進めていきましょう。
写真や商品名などをなんとなく配置するだけでもパンフレットの紙面は埋まりますが、それだけでは読み手にとって親切とは言えないことも。どの面に何を載せれば順序よく目に入ってくるか、読み手の気持ちになってシミュレーションすることが大事です。企画が固まったら、どこに何を載せるかを検討する「レイアウト」を考えてみましょう。写真や原稿の入る位置を大まかに書き込んだ構成案、いわゆる「ラフレイアウト」を作ってみるのがオススメです。
表計算ソフトなどで、折り目で区切られた各面に見立てて枠を並べ、それぞれに何を配置するか書き入れます。写真やキャッチコピーなど大きく見せたい要素であれば、折り目をまたぐような配置も目を引くでしょう。ただし、細かい文字や価格、問い合わせ先の住所などといった情報は、折り目にかからないように配置するのが読みやすく無難です。
折り目が入るパンフレットの場合、平面のラフレイアウトだけでは、仕上がりのイメージがつかみにくいこともあります。そこで、パンフレットと同じ大きさの紙を仕上がりと同じように折って、ラフレイアウトの内容を実際と同じ位置に書き込み、実寸のサンプルを作ってみましょう。表紙など目立つ部分のイメージも大切ですが、写真や文字は小さすぎないか、文章は順序よく読める配置になっているか、問い合わせ先などはわかりやすい位置にあるかといった部分もここでしっかりチェックして、ラフレイアウトに反映します。
ラフレイアウトが完成したら、原稿や写真など、必要な要素を集めていきましょう。デザイナーに印刷用のデータを作ってもらう場合は、あらかじめラフレイアウトやサンプルを渡して相談したり、写真はどれくらいの解像度があればいいのかなどを確認しておきましょう。
原稿や写真がそろったら、印刷用のデータを作って印刷会社へ入稿(データを引き渡す)します。レイアウトデータは、Adobe IndesignなどのDTPソフトや、Adobe Illustratorなどのグラフィックソフトで細部まで指定して作られるケースが大半です。そのため、デザインの知識が豊富なグラフィックデザイナーや、データ制作を専門とするDTPオペレーターに、データを制作してもらうのが一般的です。
一方、最近はデザイナーやオペレーターでなくても取り扱える、PDFファイルやMicrosoft Officeのファイルで作ったデータでの入稿に対応する印刷会社も増えています。設定なども詳しく解説されていますので、自分で入稿データを作ることにも挑戦してみてはいかがでしょうか。
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