印刷物の仕上がりを左右するもの…デザインももちろん大事ですが、クオリティの差は「紙の選び方」によるところが大きいものです。印刷における紙は、重厚感や高級感を演出したり、気軽に手に取れる軽やかさをアピールしたりする要素。作りたい印刷物に見合う紙を選ぶことがポイントです。ここでは、印刷における紙選びのポイントを紹介します。
印刷用紙の名称は、「種類」と「厚さ」で示されます。たとえば、「コート90kg」「マットコート130kg」といったものです。最近は印刷発注の際に選べる紙の種類が非常に多いので、どれを選べばよいのかわからないと感じている方もいるかもしれませんね。
「90kg」や「130kg」は、用紙を1000枚重ねたときの重さです。つまり重量が重くなるほど、紙は厚くなるということ。とはいえ、kgの単位で紙の厚さをイメージするのは難しいので、おおよその目安をご紹介しましょう。
紙の種類によっても厚さは異なりますが、よく使われるコート紙やマットコート紙では上記が厚さのおおよその目安になります。印刷物は、紙の厚みがあるほどしっかりとした仕上がりになりますが、金額も厚みに比例して高くなるのが一般的です。また、大量発注した場合は、持ち運びや在庫保管の負担も大きくなる場合があるでしょう。一方、薄手の用紙は、軽やかな仕上がりでかさばらず、手に取ってもらいやすいというメリットがあります。しかし、手軽さゆえに廃棄もされやすく、手元に長く置いてもらえない可能性も否めません。
費用対効果まで考えて、作りたい印刷物にとって、ちょうどよい「用紙」を選ぶことがポイントです。
印刷用紙の基本的な種類としては、「コート紙」「マットコート紙」「上質紙」の3つに大別されます。
「コート紙」は、表面を光沢のあるコーティングで覆ったもの。ツルツルした手触りで、チラシや雑誌の表紙、カタログなどで使われています。
「マットコート紙」は、光沢を押さえたコーティングで覆ったもの。光を反射しにくく、落ち着いた印象なので、高級品を扱うパンフレットや文字情報が多いチラシなどに適しています。
「上質紙」は、コーティングをしていないので光沢はなく、ややざらついた手触り。コピー用紙やノートの用紙などがそれにあたります。
このほか、上記に該当しない「特殊紙」という種類もあります。取り扱いは印刷会社によっても異なりますが、手作りのような風合いを演出できるクラフト紙や和紙、カラフルな色付きの上質紙、鏡のような光沢のミラーコート紙など、質感もカラーも種類は非常に豊富です。特殊紙は個性的でインパクトのある印刷物を作りたい場合に最適ですが、通常のコート紙やマットコート紙、上質紙と比べて、価格は割高になります。大量発注の印刷物より、個人の名刺や特殊なパンフレットなど、小ロットの発注で選ばれることが多いようです。
基本的な印刷用紙の知識はあっても、いざ発注する段になると「こっちとこっち、どちらのほうがいいかな」「この用紙がいいと思うけど、値段がちょっと…」と迷ってしまう方も多いようです。とくに最近主流になりつつあるWEB通販の印刷会社では、パソコンのディスプレイから紙の質感や厚みを想像するしかなく、手元に印刷物が届くまで心配なこともあるのではないでしょうか。
印刷用紙選びで失敗しないためには、やはり実際にご自身の目で見て、手で触って確かめるのが一番です。WEB通販の会社でも、用紙のサンプル帳を用意しているところもあります。実際に手元で用紙サンプルを確認すると、印刷の仕上がりをイメージしやすく、安心して発注できるはずです。
すぐに印刷物を作る予定がなくても、用紙見本を持っておくと、いろいろな場面で役に立ちます。クリエイターの方ですと、印刷のサンプルからデザインが思い浮かぶということもあるとか。印刷物制作のための資料として取り寄せてみてはいかがでしょうか。
前の記事
印刷物の「設計図」とも言える大切な役割を持つ「台割(だいわり)」。カタログやパンフレットといった印刷物の作成に関わる方であれば、一度は耳にしたことがあるの …
次の記事
会議用の資料、商品カタログ、名刺、ポスターなど、紙というのはその用途に応じて最適な紙の厚さが異なります。 例えば、文庫本などの書籍はページがめくりやすい薄 …