印刷物の「設計図」とも言える大切な役割を持つ「台割(だいわり)」。カタログやパンフレットといった印刷物の作成に関わる方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
印刷物のすべての製作工程をきちんとチェックするためにも欠かせないものですので、その仕組みについてきちんと理解しておくことが大切です。
そこで今回は、印刷物を作成する際の台割の作り方について、詳しく解説していきます。
>台割のテンプレートダウンロードはこちら
「台割」というのは、カタログやパンフレットといった冊子を作成する際に、何ページにどのような企画や誌面が来るのかといった内容や構成をまとめた、設計図のようなものです。「台割表」「ページ割」と呼ばれることもあります。
また、台割を使って設計するのは日本だけではありません。英語では「flatplan」と呼ばれ、台割と同じ役割を果たしています。
具体的な内容を一覧化することで、内容のバランスや、流れなど冊子全体のイメージをつかむのが目的で、入稿の際のチェックに使うこともあるため、印刷会社によっては冊子を作成する際に台割の提出を求めるところもあります。
ちなみに「割付(わりつけ)」という言葉もありますが、こちらは紙面のレイアウトの指示書のこと。台割よりも詳細に各ページの写真やコピー、本文の指定等が入ったレイアウトラフのことを指します。
台割が必要になるのは、主にパンフレットや漫画、広報誌、雑誌といった冊子を作る場合です。
一般的な目安としては、8ページ以上の冊子を作る場合に必要だとされています。これは、ページ数が多くなればなるほど、全体の把握をすることが難しくなるためです。
例えば、写真を載せる場合、その写真が右ページに配置されるのか、左ページに配置されるのかによって、撮影のアングルや見開きページの配置などが変わって来ることがあります。台割を作成しておくことによって、冊子の制作に関わる全ての方が構成を共有することができるため、冊子の全体像をしっかりと把握してミスを減らすことができるのです。
特に、編集、撮影、印刷などそれぞれの工程に多くの方が関わる場合には、情報を共有するためにも台割が不可欠だと言えるでしょう。
チームだけではなく、1人で全ての作業を行うようなフリーペーパーや同人誌でも台割はあった方が良いですね。チーム内での共有が不要のため、制作作業にいきなり取り掛かりがちですが、台割に書き出して整理することで、全体が把握でき備忘録にもなります。効率的かつスケジュール通りに冊子制作を進めましょう。
では、実際にカタログなどの冊子を作る場合、どのようにして台割を作れば良いのでしょうか。
一般的な台割には、表にタイトルとページごとの概要をまとめた「一覧リスト」タイプと、2P見開きごとの展開図に大まかな流れや内容を記入していく「見開き図」タイプの2種類があります。構成内容がシンプルなものは一覧リストタイプで十分でしょう。反対に写真をたくさん載せたり、内容が凝っていたりというものは、見開き図タイプの台割がおすすめです。
台割はエクセルやillustratorを使って作成することができます。作成時のポイントとしては、誰が見ても同じように理解できるものであるということです。特に、冊子の制作に多くの人が携わる場合には、台割りが分かりにくいものだとミスに繋がる可能性もあるため注意しましょう。
台割に書き込む内容例です。書き込む内容にルールはありませんが、最低限「ページ数」「内容」が共有できるようにします。
ページ数、ノンブル | ページ番号やノンブルを入れましょう |
項目 | 表紙、目次、特集1…などそのページの項目を入れましょう |
ページのタイトル/見出し等 | ページの主タイトルや見出しコピーを書きましょう |
ページの内容 | ページの概要を書きましょう |
写真/図 | どんなカットを何点必要か書きましょう |
担当 | 編集や制作の担当を入れましょう |
必要なタイプの台割のテンプレート例を用意しました。ダウンロードしてお使いください。
一覧リストタイプ | 見開き図タイプ | |
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8ページ | ダウンロード | ダウンロード |
12ページ | ダウンロード | ダウンロード |
16ページ | ダウンロード | ダウンロード |
32ページ | ダウンロード | ダウンロード |
48ページ | ダウンロード | ダウンロード |
64ページ | ダウンロード | ダウンロード |
台割というのは、印刷物を思い描いた通りに作るための欠かせないものです。上記の内容を参考にして、台割を作成して積極的に活用していきましょう。
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