電子メールなどの普及により、以前と比べると郵便物を送る機会は減りましたが、ことビジネスにおいては、まだまだ郵便を扱う機会は少なくありません。
署名や捺印が必要なものや個人情報などを扱う重要な文書から、ちょっとした挨拶状、お礼状など、さまざまな使用用途があります。
ですが、いざ封筒を作ろうと思った時に、規格内の大きさだけでも何種類もありますし、そこに紙質やデザイン、色、特殊加工などが加われば、もう何を選んだら良いのかわからなくなってしまいますよね。
そんな中からここでは、封筒を選ぶときのポイントの一つとして、封筒によく使われている紙の種類と特徴、サイズ、使用用途等についてご紹介します。
(※こちらの記事に記載されている料金情報は2021年8月現在の情報です)
どんな紙質であっても封筒を作ることはできます。しかし、中に物を入れて送るという封筒の役割を果たすためには、それに適した紙があります。
ここからは封筒印刷で使用できる印刷用紙の特徴をご紹介します。
青み掛かった白色が使用されることが多く、封筒に使う紙として定番の紙です。
封筒としての使い勝手のよさという点では、油性ペンなどで宛名を書き入れてもにじみにくく、印刷にも適しているので、案内状や挨拶状を入れる封筒としてもよく利用されています。
茶色のクラフト紙はいわゆる「茶封筒」と呼ばれるタイプのもので、こちらも封筒の定番色です。
強度が強いことからダンボールや包装紙、緩衝材などにも使われていて、その点でも封筒に適しています。
ただし、ケント紙と比べると表面にザラつきがあるので、インクが滲んだり、印刷が上手く乗らなかったりすることがあります。クラフト紙には処理の状態によって晒、半晒、未晒などの種類があり、晒クラフト紙は白色で未晒クラフト紙は濃い色になります。
上質紙にさまざまな色をつけたものです。
上質紙は書籍やノートなど、筆記特性に優れた用紙です。また光沢がないで光の反射もなく、文字物冊子にも適しています。上質紙に色がついたものは、カラーバリエーションも多いため、封筒としてもよく使用されます。
印刷の際は紙がインクをよく吸うので、発色は柔らかく控え目になります。
一般的によく使われているもの以外にも、封筒にはさまざまな用紙を使うことで、それにあった利用法や特性を出すことができます。
ここからは少し変わった紙の種類と、その特徴や使うことでどんなイメージを持たせられるかについて紹介します。
日本古来の製法で作られている和紙は、洋紙に比べて繊維が長いため、薄くても丈夫で寿命が比較的長く、独特の風合いを持っています。
紙から日本の伝統、落ち着きや温かみといったイメージが沸くので、日本の伝統的儀式にまつわるお祝いやお礼、和の演出がされたイベントや、ご年配の方への案内状など、幅広い用途があります。
トレーシングペーパーは、原図の透き写しや、複写用などに使う半透明で薄い用紙です。
本来であれば中身が透けてしまうので、封筒には向いていない用紙ですが、逆に中身を透けさせることでデザイン性を高めるという利用法があります。また丈夫で耐水性、耐油性にも優れているので、封筒にしても問題はありません。
ファインペーパーは、さまざまな手触りや風合いをもつ特殊紙で、封筒の用紙としても多く使用されています。
例えば縞模様が施されたレイド紙や風合いのあるコットンなど、様々な質感や色の選択肢があります。例えば黒い用紙の封筒を作りたいなど、デザイン性にこだわった封筒を作成する場合によく使用されています。
一口に封筒と言っても、世の中にはさまざまな種類のものがあります。
まずは日本工業規格(JIS)の規定に沿って作られている一般的な3種(角形、長形、洋形)の形状について、その特徴とどんな物を入れるのに適しているのかを紹介します。
一般的な本や書類などを入れる用途で使用される場合が多く、ビジネスシーンではよく使われる封筒です。封入口は短辺にあります。
封筒の名前 | サイズ | 規格 | 特徴・使用されるシーン |
---|---|---|---|
角形1号 (角1) |
270☓382 mm |
定形外 | B4サイズ(257×364mm)の用紙を折りたたむことなく、そのまま入れられます。 |
角形2号 (角2) |
240☓332 mm |
定形外 | A4サイズ(210×297mm)の用紙を折りたたむことなく、そのまま入れられます。ゆとりがあるためある程度厚みのある冊子や部数の多い印刷物を入れるのに最適です。 |
角形国際A4 (角20) |
229×324 mm |
定形外 | A4サイズ(210×297mm)の用紙を折りたたむことなく、そのまま入れられます。角2に比べて一回り小さいので小部数の書類を入れた際に上下左右の空きが少なくなります。窓付封筒で住所を表示させて小部数を送る場合は角20の窓付の方が角2の窓付よりも最適です。 |
角形3号 (角3) |
216×277 mm |
定形外 | B5サイズ(182×257mm)の用紙を折りたたむことなく、そのまま入れられます。B5サイズよりもやや幅に余裕があるので、B5判の書籍や雑誌などを入れるのにも適しています。 |
角形6号 (角6) |
162×229 mm |
定形外 | A5サイズ(148×210mm)の用紙を折りたたむことなく、そのまま入れられます。写真の2Lや、A5判の雑誌や書籍、コミック、CDやDVD、伝票などを入れるのに適しています。 |
角形8号 (角8) |
119×197 mm |
定形 | 日本の紙幣を折らずにそのまま入れられ、B5を横三つ折りにして入れるのにちょうど良いサイズです。紙幣を折らずに入れられることから、金銭の受け渡しによく使われ、給料袋、月謝袋、集金袋などに用いられています。 |
縦長の封筒で、こちらも封筒の短辺に封入口があります。
郵便局で「定形郵便物」として送る際は、「長形4号(長4)」(90×205 mm)、「長形3号(長3)」(120×235 mm)をよく利用するので一般的な封書として馴染みのある形状です。
封筒の名前 | サイズ | 規格 | 特徴・使用されるシーン |
---|---|---|---|
長形3号 (長3) |
120☓235 mm |
定形 | A4サイズ(210×297mm)の3つ折りが入るサイズです。請求書や伝票、一般的な書類の封入に利用されることが多いです。 |
長形4号 (長4) |
90☓205 mm |
定形 | B5(182×257mm)の3つ折が入るサイズです。 |
長形40号 (長40) |
90☓225 mm |
定形 | A4サイズ(210×297mm)の4つ折りが入るサイズです。 |
封筒の長辺に封入口がある横長の封筒です。封入口が広いので中身の出し入れがしやすく、招待状や案内状を送る際などによく使われる封筒です。
封筒の名前 | サイズ | 規格 | 特徴・使用されるシーン |
---|---|---|---|
洋長3号 (洋長3) |
235×120 mm |
定形 | A4サイズ(210×297mm)の3つ折りが入るサイズです。招待状や案内状の封入によく使われます。 |
洋形2号 (洋2) |
114×162 mm |
定形 | A5サイズ(148×210mm)の2つ折りが入るサイズです。はがきやカードの封入に使われることが多いです。 |
封筒の紙の厚さを表す単位として、封筒の業界では「g/㎡」を使用するのが一般的です。
例えば「クラフト80g」という場合の「80g」は、「1平方メートル当たり80g」という意味を表し、この数字が大きくなるほど紙の厚さが厚くなるということになります。
だいたいの目安としては、以下のようなイメージになります。
紙の厚さの目安
70g・・・少し薄めの用紙。
80g・・・普通の厚み淡い色の用紙だと中身が透けて見える場合がある。
85g・・・少し厚め。
100g・・厚めでしっかりとしている
120g・・とても厚い。一般郵便物よりも保存袋等でよく使用される厚み
封筒の厚さを決める際、封筒の重さが郵便料金と関わってくるため、その点を考えると軽いもの=薄いものが好まれますが、例えば高級感を出したい場合や中身が透けないようにしたいなどという理由で厚い用紙を希望する場合があるかと思います。
そのような場合は、厚さ以外で例えば素材感のある用紙で高級感を演出したり、中身が透けない加工がされている封筒を選択するという方法もあります。
透けない封筒に関する記事はこちらから
>封筒の中身が透けてしまう……透けるのを防止する方法
それぞれ用途や郵便料金を考慮して封筒の厚さを選択しましょう。
郵便で封書を送る際によく使う「定形」、「定形外」という言葉。
なんとなく一般的によくみる封筒のサイズで、中身が軽く、84円または94円で送れるものが「定形」で、それ以外がすべて「定形外」と思っている方も多いのではないでしょうか?
「定形」、「定形外」には、それぞれ明確な規定がありますので詳しく見ていきましょう。
「定形」は、下記の大きさの規定があります。封筒のサイズで言うと「角形8号」「長形3号」「長形40号」「長形4号」「洋形0~7号」などです。
長辺が14cm以上、23.5cm以下、短辺が9cm以上、12cm以下
厚みが1cm以下
重さが50g以下
郵送料金は(2021年8月現在)、25g以内であれば84円、25~50g以内であれば94円となっています(2021年8月現在の情報です)。
「定形外」は、「定形」に当てはまらないものすべてではありません。こちらもきちんとした規定があります。まずその大きさによって「規格内」と「規格外」に分けられます。
規格内
長辺が14cm以上、34cm以下、短辺が9cm以上、25cm以下
厚みが3cm以下
重さが1kg以下
規格外
長辺が14cm以上、短辺が9cm以上
長辺が60cm以下
重さが4kg以内
また「定形外」では円筒状のものも送ることができ、その場合は直径3cm以上、長さが14cm以上です。郵送料金は(2021年8月現在)、重さによって以下のように変わります。
重量 | 規格内料金 | 規格外料金 |
---|---|---|
50g以内 | 120円 | 200円 |
100g以内 | 140円 | 220円 |
150g以内 | 210円 | 300円 |
250g以内 | 250円 | 350円 |
500g以内 | 390円 | 510円 |
1kg以内 | 580円 | 710円 |
2kg以内 | 取り扱いません | 1,040円 |
4kg以内 | 取り扱いません | 1,350円 |
封筒は基本的に一枚の紙を貼り合わせて筒状にすることから、その貼り方にもいくつか種類があります。ここでは基本的によく使われる貼り合わせについて説明します。
一般的に和封筒(「角形」、「長形」)でよく使われている貼り合わせ方です。
センター貼り封筒は貼り合わせ部分が裏面の中心にあり、サイド貼り封筒は貼り合わせ部分を左右のどちらかに寄せたものになります。
サイド貼り封筒は中心に貼り目がないために印刷の際に平均的な圧をかけることができるという利点があります。
一般的に洋封筒よく使われている貼り合わせです。
ダイヤ貼りは、紙の四角を中心に向かって折りたたんだような貼り方で、封筒の展開図が菱形をしているため、ダイヤ貼りと呼ばれています。(メーカーによっては「ダイヤモンド貼」「インボイス貼」とも呼ばれてます。)
のりしろが斜めになっているのが特徴で、案内状や招待状などを送る際によく使用される貼り方です。
カマス貼りは、左右の端に接合部分を作る方法で、中心部分に貼り目のない貼り方です。そのため、封入物を入れる際、引っかかりがなく、スムーズに入れることができます。
封筒の表面の一部を切り抜いて窓状にし、中身を見えるようにしているものです。
一般的にその部分から宛先が見えるようになっています。これは「角形」、「長形」、「洋形」の形状は問わず、使われています。また窓の種類によって「セロ窓」、「グラシン窓」、「オープン窓」と区別されることがあります。
セロ窓は、封筒の内側からセロハンを貼りつける一般的なタイプ。グラシン窓はセロハンではなく、グラシン紙と呼ばれる下が透けて見える薄い紙を貼りつけるタイプ。全て紙でできているので、資源ゴミにそのまま出すことができるエコな封筒です。
オープン窓はその名前の通り、切り抜いたままの状態のタイプ。ただし、このオープン窓のタイプは郵送することができないので、使用用途が限られてしまいます。一般的には、書類などを手渡しする際や、商品に添付される保証書などによく使われています。
封筒と言うだけに、送るときには「封」をするのが基本です。
自分でのりやテープなどを使って封をすることも可能ですが、利便性が良いことからあらかじめのりが付いている封筒が多く出回っています。
ここでは口のりの種類と特徴について説明します。
封をする部分に剥離紙に覆われたのりが付いているタイプです。
剥離紙をはがすだけですぐに封ができるのでとても便利です。手が汚れたりすることもなく、のり自体も紙でしっかりと保護されているので持ちが良いようです。DMを送る際など、大量に封入作業をしなければならないときなどに便利です。
封をする部分にアラビアのりと呼ばれる水のりを塗り、それを乾燥させたものがついているタイプです。手で触ったりすると少しベタベタとした感触がある部分に水をつけることでのりの接着力が復活し、封ができるようになります。
水を塗るのが手間ですし、手が汚れてしまうことがあるというデメリットがあります。
また、封筒が古かったりすると、のりの接着力が弱っていることもあるようですが、コスト面では剥離紙のり付き封筒よりもリーズナブルです。
ここで紹介した以外にも、封筒に使える用紙はまだまだたくさんあり、その特性によって違った印象を与えることができます。
どんな用紙を封筒に使えばいいのか悩んでしまった場合には、印刷所に相談してみることをおすすめします。
プロのアドバイスをもらったり、用紙のサンプルをもらったりして実際に自分で質感を試してみると、ご自身の持つイメージにより近いものが見つかるかもしれません。
種類も多いうえ、用途やコストも幅広い封筒。紙の種類を選ぶときには、こちらを参考にしつつ、印刷所に相談するなどして、ご自身の理想に近い封筒用紙を探してみてはいかがでしょうか。
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