本記事では、オンラインデザインツールとして人気が高いCanvaと、プロ向けのグラフィックソフトAdobe Illustratorの違いや、それぞれの使い分けの目安、さらにCanvaで作成したPDFデータをIllustrator形式に変換する方法について解説します。印刷業務での注意点もふまえ、トラブルなく入稿するためのポイントを整理していますので、ぜひ参考にしてください。
ここではCanvaとIllustratorの基本的違いと、両者を比較した際の特徴をご説明します。
Canvaは、オンライン上で動作するデザインツールです。初心者から上級者まで幅広く利用されており、テンプレートを選んだり、ドラッグ&ドロップで素材を配置したりするだけで、手軽にチラシやSNS投稿画像、ポスターなどが作成できます。
Adobe Illustratorは、ベクターデータを扱うプロ仕様のグラフィックソフトです。印刷物の制作やロゴデザイン、イラスト作成などに広く利用されています。デスクトップアプリとして動作し、拡大縮小しても劣化しない高品質なデータを扱える点が大きな強みです。
Canvaは誰でも使いやすい一方で、限界や注意点も存在します。ここでは長所と短所の両面を把握し、目的に応じた正しい活用を目指します。
まずは、Canvaのメリットを整理します。
長所が多い一方、Canvaには以下のような制約や注意すべき点も存在します。
プロの現場でも多く使われるIllustratorは、高い表現力をもつ一方、ある程度の学習コストも必要です。
まずはIllustratorのメリットについて見ていきます。
一方で、Illustratorを使う上で気をつけたい点も存在します。
ここでは、Canvaで作成したデータをIllustrator向けに変換する主な理由と、その実際のステップについて詳細に解説いたします。
Canvaで作ったPDFを開く際、PCに使用フォントがないと自動的に別フォントに置き換わり、レイアウトが崩れることがあります。アウトライン化することで文字が図形扱いとなり、文字化け防止やデザイン再現性の向上につながります。
多くの印刷会社は、高品質な印刷を行うためのデータとしてIllustrator形式のベクターデータやアウトライン化されたPDFを求めます。配置要素がビットマップ状態のままでは、解像度などの点で思わぬトラブルが起こる可能性が高いです。
Canvaで作成・ダウンロードしたPDFファイルをAdobe Acrobat Proで開きます。
「ファイル」→「書き出し形式」→「EPS(Encapsulated PostScript)」を選択してください。書き出しの段階で文字が自動的にアウトライン化されるため、フォント崩れを回避できます。
生成したEPSファイルをIllustratorで開きます。これで文字や図形がアウトライン化された状態になり、自由に編集可能です。
上記の工程を経ることで、CanvaのPDFをIllustrator形式として扱えるようになります。
CanvaでPDFを出力する際には、印刷会社への入稿を想定した設定や手順を踏んでおくことが望ましいです。
CanvaにはSNS投稿向けやWebバナー向けのテンプレートが多数ありますが、印刷物には専用の「印刷製品」や「ポスター」「フライヤー」などを選び、サイズ・解像度をはっきりさせましょう。CMYKモードに対応しているかも要確認です。
印刷物のサイズが看板なら大きく、名刺なら小さいなど、最終用途に合わせて正確な寸法を設定してください。サイズが合わないままPDFにしてしまうと、拡大縮小時にレイアウトが崩れる可能性があります。
PDF形式を選ぶ際、「印刷用」の設定があれば必ず選択し、カラープロファイルをCMYKにするなど、印刷用の容量や品質を確保した状態で書き出すことを推奨します。
PDFを開く環境に利用フォントがインストールされていないと文字化けにつながります。最終的にはAcrobatやIllustratorでアウトライン化を行うことで安全策を取れますが、Canva側でも一般的なフォントを使っておくとトラブルを減らせます。
本記事では、CanvaとIllustratorの違い、Canva文件をIllustrator形式に変換する理由と具体的な方法、印刷時の注意点について解説いたしました。両ツールを併用することで、デザインの幅も広がります。
ぜひ本記事で紹介した情報を参考に、制作する印刷物の用途やレベルに合わせた最適なデザインツールをお選びください。
前の記事
本記事では、CanvaでPDFを保存する方法を詳しく解説いたします。オンラインデザイントップクラスのツールとして定評のあるCanvaは、多彩なテンプレート …