デザインの仕事に資格は必須ではありません。しかし、実力を可視化できる証明として、近年「資格」が注目されつつあります。特に未経験からデザイナーを目指す方や、転職・副業を考える方にとっては、自身のスキルを裏付ける客観的な材料として資格取得は非常に有効です。
本記事では、「デザイン 資格」に関心のある方に向けて、Web・DTP・色彩といった分野別におすすめの資格を厳選してご紹介します。試験形式や学習期間、費用、そして実務での活用度などもあわせて整理しています。
デザインの仕事は、資格がなくても始められる職種です。特にフリーランスやインハウスデザイナー、ベンチャー企業などでは、実績やポートフォリオの方が重視される傾向があります。
一方で、未経験からの転職や、職場でのスキル証明、キャリアアップを目指す場面では「資格」が非常に効果的です。資格を持つことで学習意欲や基礎力の証明となり、信頼性や市場価値の向上にもつながります。
ここでは、デザイン職に関連する11の資格を大きく4つのジャンルに分けて整理しました。
ジャンル | 資格名 | 主な対象 | 試験形式・費用(目安) | おすすめ度・コメント |
---|---|---|---|---|
Web系 | ウェブデザイン技能検定 | Webデザイナー志望 | 学科+実技 約7,000〜10,000円 |
★★★★☆ 国家検定として信頼性あり |
Web系 | Webクリエイター能力認定試験 | 初学者〜中級者 | 実技(ソフト操作) 約6,000円 |
★★★★☆ 実務ベースでわかりやすい |
Web系 | HTML5プロフェッショナル認定資格 | コーダー・開発志望 | CBT 約16,500円 |
★★★☆☆ コーディング力重視の資格 |
DTP系 | Illustrator®能力認定 | DTPオペレーター | 実技 約6,500円 |
★★★★☆ 基本操作力の証明に有効 |
DTP系 | Photoshop®能力認定 | DTP・画像加工者 | 実技 約6,500円 |
★★★★☆ 制作現場で汎用性が高い |
DTP系 | アドビ認定プロフェッショナル(ACP) | デザイナー全般 | CBT 約15,000円 |
★★★★☆ 国際的にも通用する資格 |
色彩系 | 色彩検定 | グラフィック・Web全般 | マーク式 約7,000〜12,000円 |
★★★★☆ 色に関わる全職種に有効 |
色彩系 | カラーデザイン検定 | 商業・空間・DTP | 学科 約5,000円 |
★★★☆☆ 配色理論に特化している |
その他 | DTP検定 | 出力・制作・営業 | CBT+論述 約16,500円 |
★★★★☆ 印刷現場での評価が高い |
その他 | CGクリエイター検定 | 映像・アニメ志望 | 学科+実技 約5,500円 |
★★★☆☆ 映像・3DCG系の登竜門 |
その他 | Webディレクション(Web検定) | ディレクター志望 | 学科 約5,500円 |
★★★☆☆ マネジメント系資格 |
ここでは、特に実務に活かしやすく人気のある11の資格について、ジャンル別に解説します。
この資格は、職業能力開発促進法に基づく「技能検定制度」の一環として実施されている国家検定で、等級によって難易度が異なります。3級から1級まであり、デザインスキルだけでなくコーディングや制作実務力も評価されます。
HTMLとCSSの記述力が問われる資格で、制限時間内にサイトを構築する実技形式。企業でも採用基準の一つとして使われることがある実務的な内容です。
HTML5・CSS3・JavaScriptなど、フロントエンド技術の基礎を網羅。Level1とLevel2があり、より技術的な能力の証明として評価されます。
実際にIllustratorを使ってのオペレーションを行うため、基礎スキルの確認に最適。ポートフォリオ制作前の目安としても活用できます。
画像編集ソフトPhotoshopの操作力を問う資格で、就職時の実務スキル証明として活用されています。作業スピードや精度も求められます。
Adobeが公式に認定する国際資格。PhotoshopやIllustrator、Premiere Proなど複数のソフトごとに取得可能です。海外企業とのやりとりにも効果あり。
文部科学省後援の公的資格。色の基本原理から応用、ビジネス活用までを体系的に学べるため、職種問わずおすすめできます。
インテリアや商空間、商品パッケージの配色戦略など実務と連動しやすい内容で、カラー計画を立てる立場にある方におすすめ。
DTP全般の制作知識、印刷工程、出力形式など、実務的な知識が出題範囲に含まれ、現場力の証明になります。営業・ディレクション職にも有効。
動画編集や3Dモデリングなどの基礎を体系的に学べる検定で、ポストプロダクションや映像制作業界でのキャリア構築に向いています。
サイト設計や要件定義、運用計画など「作る」ではなく「仕切る」立場のための知識が問われます。コミュニケーション能力や仕様管理の理解に有用です。
資格選びに迷ったときは、「何のために資格を取るのか」「どのジャンルで活躍したいのか」という目的に立ち返ることが重要です。
未経験からの転職や新卒就職を目指すなら、「ウェブデザイン技能検定」や「色彩検定」「Illustrator/Photoshop能力認定試験」など、知名度と信頼性の高い資格がおすすめです。
現場での即戦力をアピールしたいなら、「Webクリエイター能力認定試験」や「DTP検定」「アドビ認定プロフェッショナル(ACP)」が実務に近く、フリーランスにも有利です。
Web制作にとどまらずディレクションやマネジメントも視野に入れるなら、「HTML5プロフェッショナル認定資格」や「Web検定」など、やや専門性の高い資格も検討しましょう。
時間が限られる社会人や学生には、Schoo、デジハリONLINE、Udemyなどの学習サイトが便利です。AdobeソフトやHTML/CSS、配色理論など、目的別に選べます。
書店では「できるシリーズ」や「Photoshopしっかり入門」が定番。学習サイトでは「ドットインストール」や「Progate」「paiza」なども初学者に支持されています。
資格取得の勉強だけでなく、実際にバナーやLPを作ってポートフォリオを整備することが、最も効果的な学習方法です。
デザイン業界は実力主義とはいえ、資格を持っていることで「基本を学んでいる」「継続的に学んでいる」姿勢が伝わります。Web・DTP・色彩など、方向性に応じて資格を組み合わせることで、より広い活躍の場が見えてくるはずです。
前の記事
印刷業界は近年、デジタル技術や自動化の進展により、大きな転換期を迎えています。従来のオフセット印刷だけでなく、オンデマンド印刷やデジタル制作の需要が拡大し …