これは、印刷の最高濃度はインキ膜厚を高くすればある程度上がるが、膜厚は印刷可能な範囲内に抑えなければならず限度があり、また紙の白色度にも制限されてしまうためである。原稿濃度の忠実な再現はできないが、できるだけ視覚的に近づけるようにするのが濃度圧縮である。
図のように、原稿の濃度領域が4.0近くまであるのに比べ、印刷で再現できる濃度領域は1.8程度である。直線的に濃度圧縮したAでは中間調が調子のない再現になってしまう。
そこで中間調を重視して曲線化したのがBのカーブである。これは、人の視覚がハイライトから中間にかけての階調変化に敏感であるため再現性を損なわないよう階調数を多くし、シャドウから中間にかけてはハイライト側に比べ敏感度が落ちるため階調数を少なくしたカーブである。