文字以外の図表や絵画、写真などは写真凸版(腐食凸版)といい、写真製版の手法を使って画線部と非画線部を作り、非画線部を腐食して凹ませて凸版を作る。現在は、製版フィルムから合成樹脂に焼き付けて作る感光性樹脂凸版が多く使われている。
版の山(凸)部分にインキを乗せて圧力をかけて紙に転写するため、力強い輪郭のシャープな文字を印刷することが可能であるが、その反面、紙に直接圧力がかかるため、紙にシワが寄ったり、印刷面にへこみが付くことがある。また、写真などの連続階調表現はあまりきれいに再現ができない。直接圧力をかけて印刷するため、小さい文字などもつぶれてしまう可能性がある。写真の再現性は全体的に強い感じに仕上がるが、階調を再現する網点の線数も55〜100線ぐらいが標準で細かい線数には不向きである。文字中心のものであれば大量印刷に向いているが、大量のカラー印刷物にはインキの乾きが遅く不向きである。
新聞や文字中心の雑誌本文、書籍やビジネスフォーム、名刺、シール、ダンボールなどの印刷に用いられてきた。凸版印刷は、最も歴史が古く原理の単純な印刷方式であるが、オフセット印刷方式の台頭にともない減少の一途をたどっており、現在では大量部数の新聞印刷もオフセット印刷へ移行している。