
印刷工場を見学すると、印刷の見方が変わる。竹橋工場見学会レポート
「印刷会社にデータを入稿した後、印刷物はどのように作られているのだろう?」
「オフセット印刷とオンデマンド印刷は何が違うの?」
印刷発注担当者やデザイナー、広報担当者の皆さまは、日々の業務や印刷会社とのやりとりの中で、ふと疑問に思ったことはありませんか?印刷物を発注したりデザインを制作したりする方でも、実際の印刷現場を見る機会はあまり多くありません。
バンフーでは、印刷への理解を深めていただくことを目的に、工場見学を随時開催しています。今回は、2026年5月に竹橋工場で開催した工場見学会の様子をご紹介します。
見学会は、座学・工場見学・質疑応答の3部構成で実施。
参加者の皆さまからは、「現場を見ることで印刷への理解が深まった」という声を多くいただきました。本記事では、当日の様子や参加者の皆さまからいただいた感想を交えながら、工場見学の内容をご紹介します。
工場を見る前に、印刷の「なぜ?」を学ぶ
工場見学の前に、会議室で印刷の基礎知識についてお話ししました。
今回は印刷発注担当者や新人マーケターの方を対象とした見学会ということで、バンフーの事業紹介に加え、CMYKによる色の仕組みや網点による表現、データ作成時の注意点、印刷物の見積り・発注時に役立つ内容を中心に進めました。


参加者の皆さまは、うなずきながら熱心にメモを取り、説明を聞かれていました。
特に、印刷の見積りや発注時に必要となる項目を紹介した場面では、多くの方がメモを取られていたのが印象的でした。
印刷物は普段何気なく手にしていますが、「なぜ画面と印刷物で色が違って見えるのか」「印刷会社がデータチェックを行う理由は何か」といった疑問を整理してから工場を見学することで、その後の理解も深まります。
実際の印刷現場へ。設備の向こうに見えた「人の仕事」
座学の後は、竹橋工場内の見学です。
オフセット印刷機、オンデマンド印刷機、製本設備、断裁機、梱包・発送工程など、印刷物が完成するまでの流れを順番にご覧いただきました。
大量印刷を得意とするオフセット印刷機。
高速で印刷しながらも、品質を維持するため人の目と手によって細かな調整が行われている様子もご覧いただきました。また、オフセット印刷機の大きさや重量に驚かれる場面もありました。実際の設備を目の前にすると、写真や数字だけでは伝わりにくい印刷現場の規模感をつかんでいただけると思います。



このオフセット印刷機は約60tあります。
「一般的な通勤電車の車両1両が大体30t前後だそうです。なので、この印刷機は約2倍の重さがあります。」そんな説明を聞くと、参加者の皆さまからは思わず「おぉ……!」という声が上がりました。
数字だけでは伝わりにくい印刷機の大きさも、実際に目の前で見ることで、その迫力を実感していただけたようです。
こちらは断裁の工程を見ていただいているところです。

「紙の間に空気を入れてから断裁する工程が印象的だった」という参加者の声もありました。(断裁する前に、紙をバサバサーっとして空気を入れるのです)
普段は目にすることのない工程ですが、仕上がりの品質を支える重要な作業です。
自動梱包ラインなど機械化された部分を見ていただいた後、Tシャツプリントや可食プリントなど、ノベルティ制作の現場も見学していただきました。
ちょうどTシャツにシルクプリントを施しているタイミングだったため、一枚ずつ手作業で仕上げる様子をご覧いただくことができました。
『印刷』というと紙を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、工場ではTシャツや食品など、さまざまな素材への印刷も行われています。
参加者アンケートでは、
「オートメーション化された工程を想像していましたが、人の手による作業が多いことに驚きました。」
「手作業の部分があるにも関わらず、大量かつ大重量の案件を正確かつスピーディーに処理していることに感銘を受けました。」
という感想をいただきました。
工場では刷版を搬送する設備や製本ラインなど、自動化された設備が活躍する一方で、色味の確認や品質チェック、Tシャツプリントなど、人の経験や技術が欠かせない工程も数多くあります。
設備と人、それぞれの強みを活かすことで、品質と生産性の両立を図っていることを体感できるのも、工場見学ならではです。


自動梱包ラインと、手作業によるTシャツプリント。
自動化と人の持つ経験と技術、その両方がバンフーを支えています。
今回の工場見学では、参加者の皆さまからさまざまな気づきの声をいただきました。
私自身も、あらためて現場を見て印象に残ったことがありました。最初は設備の大きさや迫力に目を奪われますが、見学を進めるにつれて、印象に残るものが少しずつ変わっていきます。
自動化された工程のそばで、人が色や仕上がりを確認し、手を動かして調整する姿があります。印刷物は、設備と人のどちらか一方ではなく、両方の力でつくられていることを、社員である私自身もあらためて感じました。
「なぜそうするのか」を知ると、印刷の見方が変わる
設備を見るだけでなく、それぞれの工程がどのような役割を担っているのかを知っていただけることも、見学会の特徴です。
印刷工場では、一つひとつの工程に品質や効率を支える役割があります。「なぜこの工程が必要なのか」「なぜこの印刷方式を選ぶのか」といった背景を知ることで、普段何気なく手にしている印刷物の見方が少し変わってくるかもしれません。
終了後のアンケートでは、
「オフセット印刷の刷版の仕組みが印象に残った」
という声もいただきました。
完成した印刷物を見ているだけでは、刷版の存在を意識することはほとんどありません。けれども、実際の設備と工程を見た後では、普段手にしているチラシや冊子の向こう側に、印刷するための準備や調整があることまで想像できるようになります。
「何を作っているか」だけでなく、「なぜこの工程があるのか」に目が向くこと。それも、工場見学を通して起きる変化の一つなのかもしれません。

(おまけ)工場内で営業部のキャラクター『A4くん』の姿も見つけました
現場だからこそ聞ける、実務に役立つ質問も
工場見学後の質疑応答では、印刷方式の違いやデータ作成時の注意点など、実務に直結する質問が多く寄せられました。


例えば、オンデマンド印刷は版を作らず印刷できるため、小ロットでもコストを抑えやすく、オフセット印刷は版を作る初期工程があるものの、大量印刷では1枚あたりのコストを抑えやすいという特徴があります。実際の設備を目の前にしながら説明を受けた後にこの質疑応答をすることで、印刷方式の違いをよりイメージしやすくなります。
また、データ作成に関する質問も多く寄せられました。
その中でも、「インク総量250%」については、印刷データを作成するうえで知っておくと役立つ内容だったため、ご紹介します。
コラム:「インク総量250%」って何?
質疑応答では、「インク総量250%以上は危ないと聞いたことがありますが、本当ですか?」という質問もいただきました。
インク総量とは、CMYK4色のインク量を合計した数値のことです。
インク量が多すぎると、用紙や印刷条件によっては乾燥不良や裏移りなどの原因になる場合があります。ただし、「250%を超えると印刷できない」という意味ではありません。適切なインク総量は、用紙や印刷方式によって異なります。データ作成時に判断が難しい場合は、印刷会社へ事前に相談することをおすすめします。
印刷現場を知ることは、より良い印刷物づくりにつながる
印刷物は、デザイン・データ作成・印刷・加工と、多くの工程を経て完成します。完成した印刷物だけを見ていては分からないことも、実際の現場を見ることで理解が深まり、「なぜ印刷会社がその確認をするのか」「なぜこの印刷方式を提案するのか」といった理由も見えてきます。
印刷現場を知ることは、印刷の仕組みを理解するだけでなく、印刷会社とのコミュニケーションを円滑にし、より目的に合った印刷物づくりを考えるきっかけにもなります。
今回の見学会でも、「印刷への理解が深まった」という回答を多くいただきました。
バンフーでは、このような工場見学を随時開催しています。見学内容は、お客様の業種や知りたいことに合わせてアレンジし、開催日時もご希望に合わせて調整しています。
「印刷物ができるまでの流れを知りたい」「印刷についてもっと理解を深めたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

見学会の最後には、可食プリントを施したクッキーをお持ち帰りいただきました。紙以外にも広がる印刷の可能性を、身近に感じていただくためのちょっとしたお土産です。
工場見学に来てみたい方はこちら
「自社向けなら、どんな工場見学ができる?」実際の事例はこちら

