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なぜ塗り足しが必要?実際の断裁現場の写真でわかりやすく解説

「塗り足しは3mm付けてください」

印刷データを作る際に、このように案内されたことはありませんか?
でも実際には、

  • なぜ塗り足しが必要なの?
  • 塗り足しがないとどうなるの?
  • 印刷会社はなぜ塗り足しをお願いするの?

と思ったことがある方も多いのではないでしょうか。
実はこれ、印刷会社がなんとなくのルールでお願いしているわけではありません。印刷物は仕上がりサイズより大きな紙に印刷し、最後に断裁して仕上げています。その工程では、ごくわずかなズレが発生することがあります。

今回は、実際の断裁現場の写真も交えながら、「なぜ塗り足しが必要なのか」をできるだけわかりやすく解説します。

そもそも「塗り足し」とは?

印刷物は、仕上がりサイズより少し大きな紙に印刷し、最後に余分な部分を断裁して仕上げます。
このとき、背景色や写真が紙端まであるデザインでは、仕上がり線より外側にもデザインを伸ばして作成します。
この「仕上がり線の外側にはみ出させた部分」のことを塗り足しと呼びます。
一般的には上下左右3mm程度の塗り足しを付けることが多く、「裁ち代(たちしろ)」と呼ばれることもあります。

実際のデータで見る:塗り足しがあるデータとないデータの違い

一見するとほとんど同じに見えますが、上のデータには塗り足しがありません。
この状態で断裁位置がわずかにズレると、紙の白い部分が見えてしまう可能性があります。

塗り足しがないとどうなる?

実際に塗り足しがない状態で断裁位置がわずかにズレると、紙の白い部分が見えてしまうことがあります。
特に背景色や写真を紙端まで配置しているデザインでは、そのわずかなズレが白フチとして目立ってしまいます。

実際の仕上がりを見てみましょう

どういう風に仕上がるか、実際の印刷物をお見せしたいと思います。わかりやすくするために、クラフト紙の上に印刷物を載せて、近接写真を撮りました。

・背景色が明るいため、白フチが出ても目立ちにくい例

これは絵柄がピンク色なので、白が出てもそこまで目立っていません。実際はポスターサイズなので、遠目で見る分には気にならなそうです。

・紺色の背景では、わずかな白フチでも目立ちます

これは絵柄が紺色なので、白が出ているのが比較的わかりやすいです。こういう濃い絵柄の時は特に注意したいですね。

・白フチが最も目立つ例

これは例の中でも一番白が出てしまっています。実際はA5サイズの印刷物なので、手に取るツールと考えると、気にされやすいかもしれません。

断裁ズレ自体はごくわずかです。しかし濃い色の背景では、髪の毛一本ほどの細い白フチでも意外と目につきます。
こうした仕上がりを防ぐために、塗り足しが必要になります。

なぜそんなことが起きるの?

印刷物を作成する際は、紙を1枚ずつ切っているわけではありません。複数枚をまとめた状態で、大きな断裁機を使って一気に断裁しています。
そのため、

  • 紙同士のわずかな滑り
  • 紙の厚み
  • 紙の種類や状態による動き方の違い

などによって、ごくわずかな位置の差が発生することがあります。
もちろん何ミリもズレるわけではありません。多くの場合はコンマ数ミリ程度です。

しかし背景色や写真を紙端まで配置しているデザインでは、そのわずかな差が仕上がりに影響することがあります。

実際の断裁現場を見てみましょう

「まとめて断裁する」と言われても、なかなかイメージが湧きませんよね。
こちらが実際の断裁現場です。

写真中央の紙束は、約750枚を重ねた状態です
印刷物はこのように大量の紙をまとめて断裁しています。

コートA57.5kgの場合、一度に断裁する枚数はおよそ1,000枚で、高さ約90mmになります。
※この時の『1,000枚』はA全の状態で1,000枚です

こちらが実際の断裁中の様子です。
1刀目、2刀目は目視で位置調整(外トンボを先に断裁し位置関係を確認してから)して断裁します。以降は、断裁機には切る位置が数値で入力されており、その指示に従って順番に断裁していきます。

トランプの束を上から強く押したときに、横に少し崩れてしまうことがありますよね。
断裁でもそれと似た現象が起こります。何百枚もの紙を重ねた状態で上から強い力がかかるため、紙同士がわずかに滑り、位置が少しだけ変わることがあります。

もちろんズレはコンマ数ミリ程度ですが、背景色や写真が紙端まであるデザインでは、その差が白フチとして現れることがあります。

どれだけ精密な機械であっても、紙そのものが持つ特性や断裁時のわずかな動きを完全にゼロにすることはできません。

そのため印刷データにも、あらかじめ余裕を持たせておく必要があります。

なぜ「3mm程度」が推奨されているの?

「ズレがコンマ数ミリなら、3mmも必要なの?」と思う方もいるかもしれません。
実際、断裁で毎回3mmズレるわけではありません。多くの場合、ズレはほんのごくわずかです。

ただし印刷では断裁だけでなく、

  • 紙の伸縮
  • 折加工
  • 製本工程
  • その他の後加工


など、さまざまな要因が重なることがあります。
そのため印刷業界では、仕上がりを安定させるための安全域として、一般的に3mm程度の塗り足しを推奨しています。
必ずしも「3mmないと絶対に印刷できない」という意味ではありません。しかし、塗り足しを付けておくことで、さまざまな条件変化に対応しやすくなり、より安心して印刷を進めることができます。

文字やロゴは仕上がり線ギリギリに置かない

注意したいのは塗り足しだけではありません。

文字やロゴなどの重要な情報も、仕上がり線ギリギリに配置しないことが大切です。

断裁位置がわずかに変わることで、

  • 文字が窮屈に見える
  • バランスが崩れる
  • 読みにくくなる

といったことがあります。そのため、重要な情報は仕上がり線より少し内側に配置することをおすすめします。

テンプレートを使ってデータを作成いただくと分かりやすいかと存じます。各種テンプレートのご用意がございますので、必要な場合は担当営業にお声掛けください。

※画像はチラシのテンプレートを使用した例です。(PowerPoint用テンプレート)

断裁担当者に話を聞いてみました

竹橋工場 加工部門
田淵さん

チラシのように断裁だけの案件であれば、塗り足しが足りなくても問題なく仕上げることも可能です。

ただ、紙質や加工内容によって条件は毎回異なります。

私たちはどんな条件でも安定してきれいに仕上げるために、塗り足しをお願いしています。

まとめ

塗り足しは、印刷会社の都合でお願いしているルールではありません。

断裁や加工など、印刷工程で発生しうるわずかなズレを吸収し、お客様が意図した仕上がりをできるだけ正確に再現するための工夫です。

印刷物によって条件は異なりますが、塗り足しを付けていただくことで、より安心して印刷を進めることができます。

「なぜ塗り足しが必要なのか」を知っていただくことで、入稿時の不安が少しでも解消されれば幸いです。

データ作成に不安がある方へ

「塗り足しが正しくできているかわからない」
「このデータで印刷できるか不安」
という場合は、お気軽にご相談ください。

実際の断裁現場を見てみたい方へ

今回ご紹介した断裁現場を実際に見てみたい方は、ぜひ工場見学にお越しください。

印刷物がどのように作られ、どのように断裁されているのかを間近でご覧いただけます。

よっしー
よっしー
バンフーで営業・BtoBサイト運営を担当。営業として長年お客様の印刷物づくりに携わり、お客様から寄せられるご相談や現場への取材・検証をもとに、印刷や販促にまつわる情報を発信しています。