
背割れはスジ入れでどこまで軽減できる?マットコート紙90・110・135kgで比較
パンフレットやリーフレットなどを折ったとき、折り目が白くひび割れたように見えることがあります。これは「背割れ」と呼ばれる現象です。
特に折り目に濃い色が入っていると、白い筋が目立ってしまうこともあります。
背割れを軽減する方法のひとつが「スジ入れ」ですが、
「どのくらい効果があるの?」
「薄い紙でもスジを入れた方がいい?」
「何kgくらいから検討した方がいい?」
と気になる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、バンフーでよく使用するマットコート紙の90kg・110kg・135kgを使い、スジ入れの有無で仕上がりがどの程度変わるのかを実際に検証しました。
さらに加工現場にも立ち会い、薄い紙ならではの加工上の注意点も聞いてきました。
背割れとは?
背割れとは、折り加工をしたときに紙の表面やインキの層が割れ、紙の白い部分が見える状態のことです。
紙が厚いほど折ったときの負荷が大きくなりやすく、また折り位置に濃い色が入っていると、白い割れがより目立ちます。
一方、同じように折り目へ負荷がかかっていても、白地では紙の白と割れ部分の色が近いため、見た目では気づきにくいことがあります。
つまり背割れは、「割れるかどうか」だけでなく、「どのくらい目立つか」も重要です。
背割れを軽減する「スジ入れ」とは?
スジ入れとは、折る前の紙にあらかじめ折りやすいラインをつける加工です。
紙に凹凸をつけて折れる位置を作っておくことで、折り目にかかる負荷を分散し、背割れを軽減しやすくします。
今回は、
・ スジを入れずに二つ折り
・ スジを入れてから二つ折り
の2種類を作り、仕上がりを比較しました。
※スジ入れは背割れを完全に防ぐ加工ではなく、軽減するための加工として検証しています。
今回の検証条件
今回使用したのは、マットコート紙(ユトリログロスマット)の 四六判90kg・110kg・135kg の3種類です。オフセット印刷で絵柄を刷っています。
折り位置には、
・ 濃い紺色
・ 白地
・ 同じ紺色を薄くした淡色
の3つが入るように絵柄を配置しました。
これによって、紙の厚さだけでなく、絵柄によって背割れの見え方がどう変わるのかも確認します。
また、紙目の影響が結果に混ざらないよう、すべて折り方向に沿った紙目でそろえています。
3斤量で、スジ入れあり・なしを比較
135kg|厚い紙ほど、スジ入れの効果を感じやすい
135kgは今回の3種類の中でもっとも厚い紙です。
スジなしでは、折り目にかかる負荷が大きく、濃色部分の背割れも目立ちました。
一方、スジを入れたものは折り目が整い、仕上がりの差がはっきり分かります。
厚めの紙で、なおかつ折り目まで濃い色を使う場合は、スジ入れを検討する価値が大きそうです。


マット135kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れなし 2つ折り

マット135kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れあり 2つ折り

マット135kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れなし 2つ折り

マット135kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れあり 2つ折り

マット135kg 背の絵柄が無地
スジ入れなし 2つ折り

マット135kg 背の絵柄が無地
スジ入れあり 2つ折り

上:スジ入れなし
下:スジ入れあり
1部ずつで見ても紙の厚みがあるのでわかりやすいです。
110kg|濃い色では、スジ入れの差が分かりやすい
110kgでも、スジ入れあり・なしを比較しました。
こちらも、白地では背割れは目立ちにくい一方、濃い紺色部分ではスジなしの方が白い割れが目につきました。
スジを入れたものでは折り目が整い、濃い色でも比較的きれいに仕上がっています。
濃い色が折り位置にかかる場合は、スジ入れによる差が分かりやすいと感じました。


マット110kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れなし 2つ折り

マット110kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れあり 2つ折り

マット110kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れなし 2つ折り

マット110kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れあり 2つ折り

マット110kg 背の絵柄が無地
スジ入れなし 2つ折り

マット110kg 背の絵柄が無地
スジ入れあり 2つ折り

上:スジ入れなし
下:スジ入れあり
1部ずつで見ると、差が縮まってきました。
90kg|白地では背割れが目立ちにくい
90kgでは、スジ入れなしでも二つ折りにすることはできます。
濃い紺色部分では、折り目に沿って細かな白い割れが見えました。一方、白地部分では同じように折っていても、背割れはほとんど気になりません。
スジを入れたものと比べると、90kgでもスジ入れありの方が折り目はきれいに整いました。
ただし、今回見ていて印象的だったのは、薄い紙では「割れているかどうか」以上に、絵柄によって目立ち方が大きく変わることです。
白地や淡い色であれば、薄い紙でも背割れが気になりにくい場合がありそうです。


マット90kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れなし 2つ折り

マット90kg 背の絵柄が濃い色
スジ入れあり 2つ折り

マット90kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れなし 2つ折り

マット90kg 背の絵柄が淡い色
スジ入れあり 2つ折り

マット90kg 背の絵柄が無地
スジ入れなし 2つ折り

マット90kg 背の絵柄が無地
スジ入れあり 2つ折り

上:スジ入れなし
下:スジ入れあり
厚めの紙と違って、スジ入れありなしの差が縮まってきました。
1部ずつだと気にならない場合もありそうです。
3斤量を比べて分かったこと
今回の検証では、90kg・110kg・135kgのすべてで、スジを入れた方がきれいに仕上がりました。
ただし、見え方には違いがあります。
- 薄い紙では、白地なら背割れが目立ちにくい
- 濃い色になるほど、スジ入れの有無による差が見えやすい
- 厚い紙ほど、スジ入れによる仕上がりの改善を感じやすい
ここで、
「それなら全部スジを入れればいいのでは?」
と思うかもしれません。
ところが、現場では紙が薄い場合ならではの難しさがあるそうです。
薄い紙でもスジは入る。でも、スジ入れだけでは決まらない
加工現場の担当者に聞いたところ、90kgのような薄い紙でも、スジを入れること自体は可能です。
ただし、紙が薄いほどスジも浅くなるため、折り機に通した際、入れたスジの位置にぴったり折り目を合わせることが難しくなります。
スジを入れていても、狙った位置とは少しずれたところで折れてしまう場合があります。
つまり、薄い紙では「スジを入れれば必ずきれいに折れる」というわけではありません。
今回、90kgでもスジを入れた方が見た目はきれいになりました。
一方で、前の比較で見たように、白地ではスジなしでも背割れが目立ちにくいという結果も出ています。
そのため薄い紙では、スジ入れを追加するだけでなく、折り位置に濃い色を置かないなど、絵柄も含めて仕上がりを考えるのがひとつの方法です。

確かに、封筒のベロのところに折り線がついていても、別のところで折れてしまったりしますね。
背割れは「起きるか」だけでなく「目立つか」も変わる
スジ入れの有無だけでなく、絵柄によっても背割れの目立ち方が変わりました。
同じ折り方をしていても、白地では背割れがかなり目立ちにくくなりました。
一方、濃い紺色では、わずかな割れでも中の白い紙が見えるため、目につきやすくなります。そのため、たとえば比較的薄い紙を使いたい場合には、折り位置に濃い色を置かず、白地や淡い色を活かす
という方法も考えられます。
逆に、
折り目まで濃い色をしっかり使いたい
のであれば、紙をある程度厚くし、スジ入れを行う方が、きれいに仕上げやすくなります。
つまり、背割れ対策は「紙を何kgにするか」だけでは決められません。
紙の厚さと絵柄を一緒に考えることが大切です。
現場担当者からのコメント
竹橋プリンティングセンター
大前課長
今回の検証では、スジ入れあり・なしの差が分かりやすく表れました。
ただし、実際の加工では、用紙の種類や厚さ、絵柄、加工条件などによって仕上がりは変わります。
特に薄い紙は、スジ入れの際に紙が破れる可能性が高くなり、加工の難易度も上がります。条件によっては、加工予備を多めに見込む必要があります。
そのため、まずは担当営業へご相談ください。
用紙や絵柄、仕上がりのご希望、コストとのバランスも含めて、仕様を一緒に検討いたします。
では、どう仕様を決める?
今回の検証では、90kg・110kg・135kgのすべてで、スジ入れありの方がきれいに仕上がりました。
一方で、白地では背割れが目立ちにくく、濃い色では目立ちやすいこと、また薄い紙ではスジの位置に折り目を合わせにくいという加工上の難しさも分かりました。
そのため、「何kgからスジ入れをするか」だけでなく、絵柄・紙の厚さ・仕上がり・コストのうち何を優先するかで仕様を考えることが大切です。
たとえば、
・ 薄い紙を使いたい場合は折り位置を白地や淡い色にする
・ 濃い色を折り目まで使いたい場合は紙を厚くしてスジ入れを検討する
といった考え方があります。
ただし、紙を厚くしたりスジ入れを追加したりすると、その分コストや納期も増えます。
「このデザインだと背割れが目立つ?」「スジ入れまでした方がいい?」と迷ったときは、絵柄や用途、ご予算も含めて営業担当へご相談ください。

